登った山
池山(1,773m)、空木岳(2,864m)、赤梛岳(2,798m)、南駒ヶ岳(2,841m)、越百山(2,613)
日程
2009年6月14日(土)~15日(日)
行程
==1日目==
駒ヶ根バスターミナル→<タクシー>→池山尾根登山口(00:40)→鷹打場(01:00)→野生動物観察棟(01:01/04:53)→池山(05:26/05:39)→池山小屋分岐(05:47/05:55)→尻無(06:25)→マセナギ(06:32)→迷尾根標識(07:30)→合流点(09:16/09:28)→駒石(10:11)→空木岳(11:09/12:33)→赤薙岳(13:35)→摺鉢窪避難小屋(14:22)
==2日目==
摺鉢窪避難小屋(04:29)→南駒ヶ岳(05:39)→仙涯嶺(07:27)→越百山(08:21)→越百小屋(08:59/09:28)→越百山登山口(11:44)→伊奈川ダム上部駐車場→<釣人の車>→須原駅
1日目の記録
梅雨のシーズンであるが、天気予報を見ると長野南部は二日連続晴れの予報。梅雨の時期の週末に2日連続晴れるなんて事は滅多に無いので、急遽1日で計画を練って空木岳に登る事にした。
金曜日に会社に出社すると早々に「今日は絶対に定時で上がる!」と周りにアピールし、無事にトラブル無く業務終了。予定通りに定時で会社を上がり、帰宅して荷物をザックに詰めて新宿に移動。新宿に到着すると、今度は新宿駅西口から高速バスに乗って駒ヶ根に移動と忙しい。駒ヶ根バスターミナルに深夜に到着し、早速タクシーで池山尾根登山口に移動しようとするが、駒ヶ根駅前通りはシーンと静まり返っていて車は殆ど走っていない。いつ来るかもしれぬタクシーを待っているのも何なので、駅前のロータリーに向かおうとすると、たまたま付近にタクシー会社を発見。しかし、待機しているタクシーが1台もなく、20分程待ってやっとタクシーに乗って池山尾根登山口に向かう。
00:40 池山尾根登山口
深夜の空いている車道を快調に進んでいくが、駒ヶ根高原の別荘地を過ぎた辺りから山道となってスローダウン。山道には大きな岩がいくつか落ちており、沢山の車が通り掘り下げられたわだちが深く、底をこすらない程度にゆっくりとしたスピードで山道を登っていく。タクシーの運転手は「まさか深夜にここを走るとは思わなかった・・・。」と呟いており申し訳ない。池山尾根の登山口に到着すると、既に時間は1時近くになっており、ヘッドライトを点けて今日の寝床の鷹打場にある野生動物観察棟に向かう。
00:54 篭ヶ沢の岩窟入口
鷹打場に向かう途中で「篭ヶ沢岩窟入口」の看板があるが、深夜に岩窟を見学出来ないので、今回はパス。
01:00 鷹打場
この辺はハイキングコースにもなっており、道も広くて歩きやすい。また、標識も綺麗でしっかりとした造りであり、深夜であるが迷うような事などなく鷹打場に到着。鷹打場の標識から100m程離れた場所にある野生動物観察棟に向かう。
01:01 野生動物観察棟
鷹打場から僅か1分で野生動物観察棟に到着。観察棟はログハウス風の造りとなっており、内部はフローリングで非常に綺麗。目覚ましをセットし、エアーマットとシュラフをザックから引っ張り出して早々に仮眠。と思ったのだが、木々の合間から駒ヶ根市の夜景が見えていたので、夜景を撮影。しかしスローシャッターで写真がブレており、とても人に見せられる写真は撮影出来なかった。さっさと寝ればよかった・・・と呟きながら仮眠した。
04:53 野生動物観察棟
4時に起きて出発。結局2時間ちょっとしか寝られなかったが、観察棟が非常に綺麗で快適だったので、それだけでもありがたかった。寝ぼけながら無理やり菓子パンを口に突っ込んでから出発する。
05:26 池山
観察棟から朝日を浴びて赤く染まっている登山道を30分程登っていくと、池山に到着。地図には池山を経由せずに空木岳に向かうルートも記載されていたが、池山尾根を登るのに池山に登らないのはナンセンスだと思い、迷わず池山にやってきた。池山の山頂は周囲360度とまではいかないが、一部が開けていて中央アルプス北部や南アルプスの山々が見えていた。特に中央アルプス側は、千畳敷カールに宝剣岳が丸見えであり中々の展望だった。
真中の尖ったピークが宝剣岳、宝剣岳の下は有名な千畳敷カール。
05:47 池山小屋入口
池山を空木岳方面に下っていくと、池山小屋入口の標識箇所に出る。付近には丸太をくり抜いた水受けが印象的な水場があり、パイプからジャブジャブと水が流れていて水量は豊富だった。ここで今日明日と使う水4リットルを汲むが、ペットボトルも1リットル分背負っており、体力不足の体では非常に重かった。標識から僅か100mに地点に池山小屋があるのだが何故か興味を示さず、標識に書いてある「登山道経由空木岳」の方向に向かって進む。
06:25 尻無
尻無と呼ばれる地点の登山道沿いのいたる箇所にイワカガミが群生して咲いていた。今回は夏山シーズン前というのもあり、高山植物は期待していなかったが、思わぬところでイワカガミに出会えてラッキーだった。
06:32 マセナギ
しっかりと踏みならされた登山道を辿っていくとマセナギに到着。マセナギって何だ?「マセナ木」という木が存在するのか?と疑問に思うが、この時点では分からず、記録を書いている今も分からない。
06:40
マセナギを過ぎると、登山道の傾斜も段々と急になってきて、登山らしくなってくる。
写真では分かりにくいが、斜面にもイワカガミが沢山咲いていて歩いていても気分が良い。
池山尾根は危険個所には必ずと言ってよいほど梯子や手すりが用意されていた。
急な登山道を上り詰めると、テントが張れそうな平坦地があり、木々の合間から宝剣岳方面の展望がチラチラ見えていた。
07:09 大地獄・小地獄
登山ガイド等で池山尾根の一番の注意箇所と書かれている大地獄・小地獄のエリアを通過。大地獄・小地獄とは言っても、エリアを指すのか、ピンポイントを指すのかよく分からず、どこが大・小地獄なのか正直よく分からなかった。そもそも手すりに階段も取り付けられているので、もう既に地獄ではなくなっているように思えた。
物凄く立派な階段で、お金かけ過ぎ感たっぷりだ。
木々の合間から再び宝剣岳と千畳敷カールが見えた。
多分ここが大・小地獄の核心部だと思う。確かに手すりと階段が無ければ通過が大変かも。
07:30 迷尾根
大・小地獄を過ぎると、標識が木に打ちつけられており「迷尾根」と書かれていた。個人的には迷いはしなかったが、実際にこの辺で遭難した人もいる位なので、ガスったりすると迷うのかもしれない。
7:56 標高2,200m付近で残雪現る
迷尾根の標識を過ぎ、標高2,200m付近で残雪歩きとなり、スパッツを取り付けて登っていく。
09:16 合流点
残雪歩きをしている途中でシャリばてとなり、スピードが落ちる。担いでいる4リットルの水を捨てて後で残雪で水を作ろうかと思ったが、水作りは非常に面倒なので我慢して歩き、空木カール方面と駒石方面の分岐となる合流点に到着。合流点に到着する頃には完全にばてており、ここでシートを敷いて10分程横になって小休止。
09:56 駒石手前登山道
合流点を過ぎると登山道上の残雪が消え、駒石と空木岳が見えてきた。
駒石手前登山道のパノラマ写真を見る1 | 駒石手前登山道のパノラマ写真を見る2
10:11 駒石
空木岳のシンボルともなる駒石に到着。金峰山の大日岩と同じく山の上に大きな岩が鎮座していて何とも不思議。いつもの自分なら駒石の上からパノラマ写真を撮影するのだが、疲れていたのか珍しく撮影せずにそのまま先に進む。
駒石はやはり上から見るのが良い。
10:21
もう目の前に空木岳が聳えているが、空木岳の左右に連なる中央アルプスの山々が見事であり、歩いては立ち止って撮影を繰り返して登っていく。
10:57 駒峰ヒュッテ
どんだけという位に写真を撮りまくって、やっと駒峰ヒュッテに到着。こんなところに小屋を建てて強風で吹っ飛ばされないのかと思うが、大丈夫らしい。駒峰ヒュッテのテラスからは駒ヶ根市を挟んだ先に見える南アルプスの展望が素晴らしかった。 縦走者か昨日この付近に泊ったと思われる下山者とすれ違い、空木岳へ向かう。
11:09 空木岳
駒峰ヒュッテから一登りすると空木岳に到着。長い間登る事を楽しみにしていた山なので、山頂に到達した満足感がいつもより強い。空木岳の山頂は花崗岩が多く、土壌は軽い砂礫帯となっており、咲くかどうかは分からないが、夏にはコマクサでも咲いてそうな感じだった。空木岳の山頂からは中央アルプスの北から南へと続く峰々や、南アルプスに御嶽山、駒石と空木カールの先に駒ヶ根市の展望が見事であり、パノラマ撮影していて胸が躍る大展望だった。
空木岳のパノラマ写真を見る1 | 空木岳のパノラマ写真を見る2
中央アルプス南方面の展望。南駒ヶ岳と、去年の10月に師匠と登る予定が台風で中止となった田切岳(左の赤茶けた山)が印象的だった。
南駒ヶ岳の山容が凄かった。深田久弥氏が百名山のリストアップに南駒ヶ岳と空木岳どちらを選択するか迷ったというのも分かる山容だった。「どっちも選んで他の山を外せばよかったのに」と思うのは僕だけか。
山頂から空木カールを撮影。カールに生える木々にはまだ葉も付いておらず、新緑の時期はこれからという感じだったので、駒石経由で登って正解だと思った。
12:34 赤薙岳に向かう
余りにも展望が良いので、山頂で1時間20分程展望を堪能。本日の寝床の摺鉢窪避難小屋に移動するため、まずは赤薙岳に向かう。
13:01 キバナシャクナゲ
赤薙岳に向かう途中でキバナシャクナゲが咲いていた。よく見るピンクのシャクナゲと違って、ほん
のり薄い黄色の花弁も良いもんだと思った。
13:35 赤薙岳
空木岳から赤薙岳までの間は登山道に残雪もなく、特に危険個所もなく1時間程で赤薙岳に到着。
赤薙岳から南駒ヶ岳方面を望む。南駒ヶ岳の下の残雪を下ると摺鉢窪避難小屋であるが、斜度が急で少しビビる。
赤薙岳から田切岳を望む。ここからハイマツを越えて田切岳に向かったMLQさんも、摺鉢窪避難小屋から登った師匠も凄い。
赤薙岳から空木岳を望む。
13:54 摺鉢窪避難小屋分岐
赤薙岳を下るとすぐに「摺鉢窪避難小屋へ15分」の標識が現れるが、小屋へと下る道の上にはオーバーハングした雪庇が残っており、足をかけたら崩れて落ちそう。下降点を探すため、南駒ヶ岳方面の登山道を登って上から確認する。少し標高を上げて摺鉢窪カールを横から見ると、残雪部分は全て雪庇状になっており、とても足をかけられない。結局、残雪と残雪の合間にあるハイマツ帯を下るが、ハイマツ帯の斜面はもろく、足をかけたら50cm程ある岩が崩れて、カールの中腹まで物凄い勢いで音を立てて落ちていった。「あんなのに当たったら一発で死ぬな・・・。」と怖くなり、ザックからロープを取り出し、数本の丈夫そうなハイマツの根元にロープをくくりつけて、慎重に下っていく。
多分足をかけたら崩れたと思う。
このハイマツ帯の崩れやすい斜面を下って行った。
下ったのは5つあるハイマツ帯の真中の斜面。こういうのに慣れていないので、怖かった。
斜度が緩むと後はグリセードで下るだけで楽々だった。
14:22 摺鉢窪避難小屋
恐怖のカール下りを終えると、赤い屋根が特徴的な摺鉢窪避難小屋に到着。小屋の目の前には南アルプスが見え、小屋の後ろには摺鉢窪カールがあり、楽園のような山小屋だ。
小屋の裏から摺鉢窪カールを望む。標高差は150m程あり、夏にもう一度見たい。
小屋の横にはショウジョウバカマが咲いていた。
小屋から20m程いくと、カールの残雪の雪解け水が流れており、やっぱりバテた時に水を捨てればよかった・・・と思ってももう遅い。
小屋内部。フローリングになっているが、埃が凄くて設置されていたホウキで掃除してから利用した。
小屋到着後は、パノラマ写真を撮影したり、背負ってきた水を豊富に使ってキムチ鍋を食べる。こんな時期に縦走する人もいないのか、結局小屋に泊るのは僕だけであり、明日も早いので早々に寝た。