登山記録 甲信越 北アルプス(南部)

西穂高岳~奥穂高岳縦走(2005年8月27-28日)

登った山

西穂高岳、奥穂高岳

日程

2005年8月27-28日

行程

1日目
帝国ホテル-西穂山荘-独標-西穂高岳-赤石岳-間ノ岳-天狗岳(テント泊)
2日目
天狗岳-ジャンダルム-奥穂高岳-前穂高岳-岳沢ヒュッテ-上高地

1日目の記録

金曜日に会社で天気予報を見ると土日は連続晴れマークである。これは神様が僕に「西穂高岳~奥穂高岳の間を歩きなさい」と言っているに違いない。早速仕事の合間に夜行バスでキャンセルが出ていないか電話するが、明日からの好天の週末にキャンセルする人などおらずチケットは取れなかった。夜行バスが駄目なら夜行列車があると思い、仕事を定時で切り上げてJRの緑の窓口に夜行列車のチケットを買いに行くが、無常にも「1席空いてますが、女性車両です。」の返答だ。今日ほど女性に生まれていれば・・・と思った事はない。

結局、夜行バスも夜行列車のどちらのチケットも入手出来なかったので、金曜日中にスーパーあずさに乗って松本駅まで移動する事にした。松本駅に到着し、駅内で朝まで仮眠しようと思っていたのだが、深夜1時に入り口のシャッターが閉まるらしく、係員に駅内から締め出されてしまった。仕方が無いので、松本駅前でビバークするが、深夜にも関わらず人通りが多いので落ち着いて眠れなかった。

06:11 上高地帝国ホテル

松本駅始発の4:30の電車に乗り、新島々駅でバスに乗り換えて帝国ホテル前で下車。帝国ホテルの前を通り過ぎると、山には似合わないタキシード姿の従業員に「おはようございます」と丁寧に挨拶された。さすが帝国ホテルで、格好も態度もしっかりしているなぁ。

06:20 西穂高岳登山口

西穂高岳登山口に到着すると、「この先水場はありません」の看板がぶら下がっていた。地図には水場マークが記載されており、途中で水を汲んで行こうと思っていたので予定が狂ってちょっとがっかり。まぁ、とりあえず2リットル分は持ってきているので残りは西穂山荘で買えば問題ないだろう。

07:53 登山道

登山道は樹林帯の道で展望がなくてつまらないが、ちゃんと整備されていた。西穂山荘に行くのに、わざわざ上高地側から登る人は少ないのか、たったの1人しか途中で出会わなかった。おかげで夏山シーズンにも関わらず混雑せずにストレス無く歩けて快適だ。

08:08 宝水

「ここから先水場はありません」と登山口の看板に書いてあったのだが、実際来てみるとかなり細いが水は流れていた。山荘で金を出して水を買うのも馬鹿馬鹿しいので、ここで2リットル分の水を汲む。おかげでザック内の水の量は4kgにも及び、この先ヒーヒー言いながら登る事になってしまった。

09:10 西穂山荘

西穂山荘に到着すると、新穂高温泉からロープウェーで登ってきた登山者が沢山おり、山荘前のテーブルは混雑していた。朝からおにぎり一つしか食べていなかったので、さすがに腹が減り、ここでバナナを食らう。久し振りにバナナを食べて余りにも美味いので、持ってきた分全部を食べてしまい、おかげでザックが少し軽くなった。

09:45 西穂高岳へ向かう

ガスガスで気分は乗らないが、とりあえず西穂高岳に向かう。

10:36 独標

独標に到着するもガスガスで全く何も見えない。天気予報は2日連続晴れなのだが、金曜日が曇りの予報だったので、どうやら若干後ろにスライドしているようだ。という事は午後は晴れ?期待を込めて西穂高岳を目指す。

11:08 ピラミッドピーク

ピラミッドピークもガスガスで何も見えず。と思っていたら、西穂高岳方面がうっすらとであるが見えてきた。

11:50 西穂高岳

西穂高岳に到着。山頂は老若男女問わず人だらけで、ガスが取れて上高地や独標方面が見える度に歓声が沸いて大賑わいだ。

西穂高岳のパノラマ写真を見る

13:22 点線ルートを下る

なかなか西穂高岳に来る機会もないだろうと思い、山頂でガスが取れるのを1時間程待つが、岐阜県側のガスが分厚くて一向に取れる気配が無いので我慢し切れずに先に進む。ついにここから奥穂高岳までの間が地図には点線で記載されている危険地帯とされるルートだ。途中には水場も山小屋も一切無いので、準備は万全に行きたいものだ。写真を見ると、「よくもまぁこんな所を下ってきたなぁ」と思うが、実際にその場に行くと急傾斜も急に感じなくなるのが不思議なものだ。

西穂高岳-天狗岳間登山道のパノラマ写真を見る

14:52 ガスで視界が悪い

今後のために登山道の写真を撮影しようと思うが、ガスガスでロクな写真が撮れない。登山道は浮石が多く、誤って踏みつけると崖下転落→即死亡という可能性があるが、これは北アルプスの他の登山道でも一緒だろう。

14:54 逆層スラブの鎖場

逆層スラブの鎖場を通過。思ったよりも大した事は無かったが、雨の日はかなり辛いかもしれない。

15:16 天狗岳

赤石岳に間ノ岳という南アルプスの山と同じ名前のピークを通過し、本日最後のピークの天狗岳に到着。このまま先に進んでもよかったが、僕の目的はピークから展望を眺める事とパノラマ写真を撮影する事なので、このガスガスの状態で先に進んでも意味がない。元々天狗岳を下った先の避難小屋跡で幕営しようと思っていたのだが、天狗岳直下にガレ場ではあるがフラットな幕営的地を発見。山頂に近ければ明日の朝に朝焼も眺められるだろうと思い、ここにテントを張って一夜を過ごす。

天狗岳のパノラマ写真を見る1

15:38 天狗岳より奥穂高岳方面を望む

時折付近のガスが取れて奥穂高岳方面がちらりと見えるが、結局一度もはっきりと見える事は無かった。この時間でも単独行のおじ様が2名程奥穂高岳に向かったが、穂高山荘に到着する頃には真っ暗だろうから少し心配してしまった。テントで昼寝して、夕方に夕焼けでも見ようと思い外に出るが、ますますガスが濃くなってきて何も見えないので、晩御飯を食べて明日に備えて早々に寝た。

2日目の記録

05:22 天狗岳より焼岳・乗鞍岳方面を望む

4時半に起床。天狗岳直下にテントを張ったので、徒歩30秒で天狗岳山頂だ。山頂で朝日を眺めてから先に進もうと思い、5時前から山頂でスタンバイするが、朝日は奥穂高岳と前穂高岳の間の吊り尾根付近から上がるため、吊り尾根が壁となって中々朝日が上がらずに寒くて凍え死ぬかと思った。

天狗岳のパノラマ写真を見る2

05:41 影天狗岳

影富士・影鳥海ならぬ、これは影天狗岳と言えばよいのだろうか?何だか変わった光景なので思わずシャッターを押す。影天狗岳の後ろには白山まで見え、今日は最高のパノラマ写真が撮影出来る事を期待して山頂を後にした。

05:48 テントを撤収して出発

一晩お世話になったこのフラットなガレ場ともお別れだ。

06:10 避難小屋跡

勿体無い程天狗岳を下り切ると天狗のコルに到着。ここは三叉路になっており、北に進むと奥穂高岳、南に進むと西穂高岳、東に進むと岳沢ヒュッテに下る事が可能だ。避難小屋は崩壊していて使い物にならないが、小屋前には小さめのテントがギリギリ2つ張れるスペース(ペグは無理か?)があったので、緊急時には使えるだろう。

06:53 焼岳・乗鞍岳方面を望む

う~ん、こんな感じの風景が見られるので、何度も山に登ってしまうのだろう。山はいいよな~。

07:31 ジャンダルム手前

ジャンダルムってあんな感じだったっけ?と思うが、頂上付近に沢山人がいるので、あれがジャンダルムなのだろう。目の前にドーンと立ちはだかる背の高い巨大な岩を想像していたので、ちょっと拍子抜けだ。

ジャンダルム付近のパノラマ写真を見る

07:40 ジャンダルム

ついに念願のジャンダルムのパノラマ写真撮影に成功。山頂には単独の女性がおり、この先の西穂高岳方面に向かうかどうか躊躇していたので、正直にこの先の登山道の状態を教えてあげたが、結局何人もの中高年登山者が先に進むのを見て西穂高岳に向かう事を決断したようで、ジャンダルムを下っていった。それにしても自分の両親よりも上の年代の方々がこんな所を歩いているなんて、悪いとは言わないが、何だか行き過ぎのような気がした。

ジャンダルムのパノラマ写真を見る1ジャンダルムのパノラマ写真を見る2

ジャンダルムのパノラマ写真を見る3

08:24 奥穂高岳側からジャンダルムを望む

西穂高岳側から見るジャンダルムと奥穂高岳側から見るジャンダルムでは全く形が違う。やっぱり奥穂側から見るほうがジャンダルム(フランス語で護衛・前衛峰の意)という感じがして大迫力で格好が良い。

08:59 馬ノ背

西穂高岳~奥穂高岳の間で一番の難所と聞いていた馬ノ背であるが、登りなので全く恐怖は感じなかったが、下りだと真下が見えるので、高度感たっぷりで怖そうだ。高所恐怖症の人は結構厳しいだろうなー。

ジャンダルム-奥穂高岳間登山道のパノラマ写真を見る

09:15 さらばジャンダルム

さらば、ジャンダルム。こんなに天気の良い日に登る事が出来たので、もう当分登る事はないだろう。

09:20 奥穂高岳

ついに念願の晴れの奥穂高岳に到着。笠ヶ岳も槍ヶ岳も見え、夏山シーズンでこれだけ展望が見えれば上出来だ。罰当たりであるが、山頂にある祠の屋根に三脚を立てて360度ぐるりのパノラマ撮影を行い大満足だ。

奥穂高岳のパノラマ写真を見る1

09:40 大キレットと槍ヶ岳方面を望む

このルートは実に歩き甲斐がありそうだ。今度は上高地から奥穂高岳を経由して槍ヶ岳に登る事にしよう。

09:41 前穂高岳に向かう

いつまでも山頂にいたかったが、これから前穂高岳も登りたいので、早々に山頂を後にする。

奥穂高岳のパノラマ写真を見る2奥穂高岳のパノラマ写真を見る3

10:11 吊り尾根から涸沢を望む

涸沢にはまだ雪が残っていた。あと一月もすれば、紅葉で色鮮やかな素晴らしい光景に変化するんだよなぁ。あーもう一度行きたい。

11:09 紀美子平

吊り尾根途中のお気に入りポイントで昼食を食べ、パノラマ写真を撮影し、紀美子平に到着。前回来た時は疲れて前穂高岳に登れなかったので、今回は体力も十分残っているので登る事にする。

11:40 前穂高岳

前穂高岳を目指して登っていると、30人もの団体が下って来て、全員下り切るまで登れずにいい迷惑だ。とか言いつつ疲れていたので良い休憩になったりもする。団体さんが全員下りきったところで一登りすると、それ以上高いところはなく、山頂に到着して拍子抜けしてしまった。早速山頂からの展望を眺めてみると、奥穂高岳のパノラマも良かったが、前穂高岳のパノラマも素晴らしい。何といっても今回歩いてきた上高地から奥穂高岳の稜線が全部見えるのが良い。たまらずにパノラマ写真を撮影していると、さっきまで沢山いた登山者が全て下山し、一人きりになって前穂高岳を独占だ。あー、たまらん。

前穂高岳のパノラマ写真を見る1前穂高岳のパノラマ写真を見る2

13:46 岳沢ヒュッテ

前穂高岳を下ると、団体さんが休憩しており紀美子平は大混雑していた。たまらずに、ザックを回収して無休憩でそのまま岳沢ヒュッテに下る。岳沢ヒュッテに到着し、名物のカレーを注文するが売り切れとの事なので、代わりにラーメンを注文して食らう。山小屋のラーメンなんて即席ラーメンに毛が生えたものと思っていたら、結構美味しくてスープまで全部飲み干してしまった。

15:17 上高地に到着

上高地に到着。相変わらず上高地は観光客で大賑わいだ。松本駅行きの直行バスは満席だったため、新島々駅行きのバスに乗り、新島々で電車に乗換えて帰路に向かった。

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