尾瀬・谷川・上州 登山記録 関東

奥利根縦走|3-4日目(2011年5月3-6日)

3日目

04:57 起床

昨日は何も食べずに寝たため胃酸過多で胃が痛くなって夜中に目覚めてしまった。太田胃散を飲んで痛みを散らし再び寝て4時過ぎに起床。さすがに10時間も寝たので目覚めは完璧であり、胃が少々痛いが清々しい朝を迎える事ができた。今日は景鶴山に登って尾瀬に下り、鳩待峠の最終のバスに乗って帰る予定だが、万が一間に合わなくても食料は3日分も残っているし250gのガス缶も丸々1個と半分残っているのでもう1泊位は楽勝である。急ぐ必要もないので、会津駒ヶ岳の上に出た朝日を眺めながら行動用の水を作るなどしてゆっくりと朝を過ごした。

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06:30 平ヶ岳

今日も晴れて、これで3日連続の晴れだ。エスケープルートの無い縦走路なので晴れてくれて本当に助かった。朝食のカップラーメンを食べてテントを撤収し、昨日疲れて楽しめなかった平ヶ岳の展望を楽しむ。まず目にしたのは、昨日歩いてきた大水上山からの稜線だ。平ヶ岳から大水上山までは直線距離で9kmも離れており、遥か遠くにある大水上山を眺め1日遅れで達成感を味わう。平ヶ岳の山頂からは、越後三山、荒沢岳、会津駒ヶ岳、燧ヶ岳、景鶴山、至仏山、赤倉岳、巻機山から中ノ岳へと続く稜線の山々などが見え、最高の大パノラマを眺めながら山座同定を楽しんだ。

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平ヶ岳山頂から尾瀬方面を望む。写真左の黒いピークが景鶴山、真中の白い山が至仏山。

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平ヶ岳山頂より越後三山を望む。写真左から、八海山と中ノ岳と越後駒ヶ岳。中ノ岳と越後駒ヶ岳を中心に撮影したので、八海山は端に追いやられてしまった。ごめんね八海山。

06:59 尾瀬方面に向かう

もうさすがに7時になるので、さくっとパノラマ写真を撮影して尾瀬方面に向かう。

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平ヶ岳を下る途中で右手に見えていた赤倉岳。どっしりとしていて立派な山容だった。

07:16 平ヶ岳を振り返り見る

平ヶ岳からはまるでスキー場のような広い斜面を下る。15分ほど下ると斜度が緩くなり、後ろを振り返ると裾野を大きく広げた平ヶ岳を見ることができた。

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07:27 1936地点

1936地点からは、目の前に燧ヶ岳や今回の縦走の最後の山となる景鶴山が良く見えていた。尾瀬から景鶴山を眺める事はあっても、こちら側から景鶴山を眺める事は中々出来ないだろうと思い、記念にパノラマ写真を撮影した。

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真中のピークが景鶴山。景鶴山の後ろには尾瀬ヶ原が広がる。

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1936地点より、白沢山を望む。

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1936地点より会津駒ヶ岳方面を望む。

07:57 白沢山

1936地点から白沢山の間は途中までは快適な残雪歩きだったが、白沢山の直下は風の影響を受けるのか残雪がうねっていて段差があり、歩きづらかった。白沢山の山頂に到着すると、単独の登山者がやってきてこれから平ヶ岳に向かうとの事であり暫し情報交換。白沢山の山頂は樹林のために群馬・新潟の県境尾根は見えにくいが、角度を変えても見事な山容の平ヶ岳や会津駒ヶ岳が立派であり、中々の展望だった。

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白沢山山頂。右の山は平ヶ岳。

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白沢山から至仏山方面を望む。真中の山は至仏山。真中より少し左の白いピークが大白沢山。

08:25 白沢山の山頂付近

白沢山の山頂付近は平坦であり、白沢山を下る手前でもパノラマ写真を撮影。今日は下山体制なので、写真を撮影する手も余裕である。(もう少しで足は余裕が無くなるけど。)

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09:24 大白沢山手前の樹林帯

大白沢山は巻いても良かったのだが、こんな時でもないとこの山には登れないので、頑張って登る事にする。

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09:48 大白沢山

大白沢山の直下は斜度が急であり、キックステップで足場を作りながら登る。数日前に歩いたと思われる1名分のトレースが残っており、恐らく殆どの登山者はこの山を巻いているのが想像できた。ザックに座って景鶴山方面を眺めると、1892と1898の2つのピークを登って下ってを繰り返さないと景鶴山には辿りつけず、要塞のように聳える景鶴山はどうやら簡単には登らせてくれないようだ。

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10:26 1892ピーク

大白沢山を一旦下って登り返すと1892ピークに到着。まだ10時なのだが、僕のショボい足は疲労で悲鳴を上げており、ここから牛歩となる。

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11:00 景鶴山間近

1898ピークを越えだいぶ景鶴山に近付いてきた。

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11:23 景鶴山の肩

樹林帯を抜けると視界が広まり、景鶴山の肩の辺りに到着。ここからは眼下にまだまだ残雪たっぷりの尾瀬ヶ原を見渡せた。

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景鶴山の肩より尾瀬ヶ原を望む。

11:44 景鶴山山頂付近

景鶴山の肩からは直登せずに山頂下を巻いて登り上げたのだが、登り上げた先は山頂ではなかった。再び樹林に入ってある程度巻いてから向かいの山頂らしき箇所に登り上げる。

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12:10 景鶴山

景鶴山の直下は雪が腐っており、何度も股まで潜って抜け出しての繰り返しでまるで蟻地獄のようだった。空身ならまだしもザックは重いし、樹林にザックが引っかかって前に進めないし、もういい加減泣きそうになったところで何とか山頂らしき場所に出る。木にかかっている「景鶴山」の山頂標識を目にし、ここが今回の縦走最後の山頂である事を確認すると、達成感のゲージが振り切れたのか「うぉー、やったー!」と自然に叫んでいた。景鶴山の山頂は残雪で覆われており、どこまでが雪庇か分からないのでなるべく山名標識がかかってある木の辺りに留まり、眼下に広がる尾瀬ヶ原の展望とパノラマ写真撮影を楽しんだ。

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景鶴山より平ヶ岳を望む。

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景鶴山より至仏山を望む。

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景鶴山より燧ヶ岳を望む。

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景鶴山より会津駒ヶ岳方面を望む。

12:27 下山する

鳩待峠発16:30のバスに乗って帰りたいので下山する。景鶴山の山頂直下はトレースはあるものの、中々に急であり重荷を背負っているせいか少し怖かった。

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12:35 ケイズル沢に下る

景鶴山から与作岳に登り返して尾根を下って尾瀬ヶ原が主に歩かれているルートなのだが、数日前にケイズル沢からヨッピ橋まで水没せずに歩いている登山者の記録を確認済みである。また、景鶴山の山頂からヨッピ橋付近の残雪が豊富な事を目視で確認出来たため、与作岳には申し訳ないが、景鶴山頂下の斜面を下ったところで右に折れ、ケイズル沢を下ってヨッピ橋に向かう。

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景鶴山を振り返り見る。

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物凄い急傾斜だった。

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中腹まで下るとだいぶ斜度が緩む。

13:02 ヨッピ橋手前の樹林帯

樹林帯には相当の人が歩いているのか沢山のトレースがあった。

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13:16 ヨッピ橋手前の上ヨサク沢

「もしかして、ヨッピ橋まで一度も川を渡らずに辿り付けるか」と思ったが、目の前に上ヨサク沢が流れており、そうは甘くなかった。まだまだ残雪豊富なので川幅はかなり狭まっているのだが、ザックが重くて飛び越えられる距離ではないので、樹林帯側に少し戻って残雪を伝って沢を渡る。

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13:23 ヨッピ橋

何とか沢を渡ってついにヨッピ橋に到着。ヨッピ橋は板が外されて写真のような有様であり、アイゼンを外して靴底を乾かしてから綱渡りの要領で橋を渡っていく。

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13:38 尾瀬ヶ原

ヨッピ橋を渡ると目の前にはこれでもかという位に広い尾瀬ヶ原が広がる。残雪が多すぎて木道も見えず、どこを歩いてよいか分からないので、ここはGPSを使って水没しないように歩いた。

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尾瀬ヶ原より燧ヶ岳を望む。

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尾瀬ヶ原より至仏山方面を望む。

13:42 景鶴山と与作岳を望む

途中で後ろを振り返ると景鶴山と与作岳が見えた。

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14:25 至仏山

見事な山容の至仏山を撮影。

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14:27 水没する

牛首手前は融雪が進んでおり、水に埋もれた木道が現れる。「スパッツも付けているし、どうせくるぶし位の深さだろう」と思い水に足を突っ込むと、思いのほか深かったようで左足の登山靴の隙間からどんどん水が浸入してきて片足水没。しかも水に濡れた木道がヌルヌルしていて滑り、バランスを崩してコケそうになるが、そこは何とか持ちこたえ全身ずぶ濡れにならずに木道を越えられた。

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14:32 牛首分岐

水没地点から少し歩くと牛首の分岐。左足がびちょびちょに濡れてブルーな気分のまま至仏山方面に向かう。

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ヨッピ橋は一時通行止めだったようだ。

14:46 木道

だだっ広い残雪歩きと、川に架かる木道を幾つか越えて山の鼻に向かう。写真の橋を渡ったところで、日差しの強さで少し熱射病気味になり、ザックを降ろして大休止。今回の縦走も残りは山の鼻経由で鳩待峠に下るだけで終わってしまうのかと思うと少し寂しくなる。

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15:35 山ノ鼻

バテてしまい、ヨッピ橋から山ノ鼻までの4km弱を2時間もかけて山ノ鼻に到着。もう最終のバスまで1時間を切っており、このバテっぷりだと間に合わないだろう。それに間に合ったとしても左足が濡れたままでバスと電車を乗り継いで東京に戻らねばならず、その姿を想像すると急に嫌になり、今日は乾燥室に風呂まで備える至仏山荘に泊まる事にした。

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山の鼻にある左から「国民宿舎 尾瀬ロッジ」「山の鼻小屋」「至仏山荘」。どれも営業してそうだったが、山荘前で従業員が楽しそうに遊んでいる姿を見て、至仏山荘に泊まる事にした。

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至仏山荘の晩御飯。朝からカップラーメン1個しか食べていないので、ご飯を大盛りで2杯食べた。

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案内された部屋は二段ベッドで一人一畳のスペースが割り当てられていた。

4日目

07:43 至仏山荘を出発

6時に朝食を食べ、急ぐ必要もないのでチェックアウト時間の8時までのんびり過ごしてから鳩待峠に向かう。ちなみに、出発直前に従業員の方から聞いたのだが、山の鼻から猫又川を越えた先に国内2位の太さのカラマツが発見されたとの事だ。雪解けが進むと川を渡れなくなるのでこの時期限定でしか見られないそうだが、この時期にカラマツを見ても葉が付いておらず寂しい感じがするので、あまり興味を示さず鳩待峠に向かう。

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至仏山荘から至仏山を望む

07:45 山の鼻キャンプ場

昨日は気づかなかったが、至仏山荘のすぐ近くにはキャンプ場があり、数張りテントが設営されていた。

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07:49 トレースばっちり

山ノ鼻から鳩待峠への道は相当な人が歩いているのでトレースが踏み固められて歩きやすかった。

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08:34 登山道は歩きやすい

滑りそうな箇所はちゃんとカッティングされていた。

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08:49 鳩待峠

最終日は僅か1時間の歩きで終了し、鳩待峠に到着。鳩待峠には登山者やスキーやスノーボードを担いだ方々がいて、これから登るようで皆顔が楽しそうだった。僕はもう山を十分楽しんだので、次の楽しみは温泉だ。次のバスの時間まで40分程あるので座って待っていると、相乗りタクシーの運転手が「お兄ちゃんも乗っていくかい?」というのでタクシーに乗り、たったの2人を乗せてバスと同じ値段で戸倉まで下ってくれた。

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09:49 尾瀬ぶらり館で温泉に入る

戸倉に到着した段階では尾瀬ぶらり館がまだ営業開始前(10時開館)だったため、タクシーの運転手オススメの蕎麦も食べられる温泉に案内されたのだが、好意も虚しく営業時間は11時からであった。一緒にタクシーに乗っていた神奈川の大庭さんと共に尾瀬ぶらり館に歩いて移動し温泉を楽しむ。尾瀬ぶらり館では昨日白沢山で出会った登山者に再び出会い、温泉以外にも尾瀬のギャラリーがあり展示物が沢山あって中々楽しかった。

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11:15 戸倉バス停

温泉を楽しんだ後は、尾瀬ぶらり館の向かいにある戸倉バス停から沼田駅行きのバスに乗り、高崎から湘南新宿ラインに乗り換えて東京に戻った。

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