尾瀬・谷川・上州 登山記録 関東

奥利根縦走|2日目(2011年5月3-6日)

05:29 丹後山避難小屋を出発

4時に起きて5時に出発する予定が、寝ぼけてぐだぐだしているうちに出発は5時半になってしまった。でもテント泊だと荷物の整理に時間がかかりもっと遅くなっていたと思うので、小屋泊でよかったのかもしれない。アイゼンを装着し、昨晩 沢山の山情報を教えて頂いた中嶋さんは巻機山に、僕は平ヶ岳を目指し同じ時間に出発した。

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05:33 丹後山山頂

小屋から数分で丹後山山頂。天気が良く、山頂からは昨日よりもよく周りの山々が見えていたが、やはり一番気になるのは平ヶ岳へと続く稜線だ。丹後山から見る平ヶ岳へと続く稜線はなだらかに見え、この時点では楽観視していたが後々後悔する事になる。

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丹後山から中ノ岳方面を望む。

06:02 利根川水源碑

利根川水源碑は頭だけ出ていた。これでは記念撮影にもならないので、写真を一枚だけ撮影し通過する。

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利根川水源碑付近から兎岳と大水上山を望む。雪庇がデカい。

06:15 大水上山

利根川水源碑から少しいくと、大水上山に到着。大水上山の山頂は、ピークというよりも稜線の単なる通過点のような箇所にあるため、山頂という感じがしなかった。ただ、展望は良く、すぐ間近に兎岳とその先に中ノ岳、眼下に十字峡、平ヶ岳へと続く稜線などが見えた。

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大水上山より十字峡方面を望む。

06:20 平ヶ岳へと向かう

山頂で展望とパノラマ写真撮影を楽しんだ後は、ついに平ヶ岳へと続く稜線へと向かう。この先尾瀬までの間で登山道があるのは平ヶ岳の山頂だけであり、そもそも登山道があってもこの残雪だ。ここから平ヶ岳までは稜線伝いで10.5km、平ヶ岳からこの縦走最後の山となる景鶴山へは8kmあり、エスケープルートも無いので覚悟を決めて下っていく。のだが、いきなり簡単には下らせてくれないようで、残雪上の雪庇を避け、笹薮に入って右からまわり込むようにして下っていく。

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06:32 大水上山を振り返り見る

大水上山を下って後ろを振り返り見る。途中で人間がすっぽり入る位に大きなクレバスなどを眼下に見ながら下ってきたが、トレースが心強くそんなに恐怖心無く歩けた。

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06:43 大水上山下の尖ったピーク

上から眺めているとなだらかに見えた稜線も、懐に飛び込んでみると意外と起伏があり、登って下っての繰り返しのようだ。しかもいきなりこんな尖ったピークが現れ、ここは右の藪を巻いていく。

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07:29 藤原山手前の樹林帯

藤原岳手前の樹林帯には、写真には写っていないが昨日先行していた若い男性2人グループの幕営の跡が残っていた。

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08:15 藤原山

藤原山に到着するも、藪が出ていて半分のみのパノラマに残念な感じでパノラマ写真を撮影。「ま、こんな山頂もあるさと」思って先に進もうとしたら、もう少し展望が開けた箇所があり、再びパノラマを写真を撮影。山頂からは兎岳から荒沢岳に続く縦走路や平ヶ岳方面に形の良い越後沢山が望める素晴らしい展望が広がっていた。

パノラマ写真を見る1パノラマ写真を見る2

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藤原山より平ヶ岳方面を望む

09:23 にせ藤原山手前

藤原山からにせ藤原山の間は殆ど残雪歩きで難しい箇所は無いが、にせ藤原山手前かは藪が多くて歩き辛かった。

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09:53 にせ藤原山

山頂直下の藪漕ぎを何とか越えて、にせ藤原山の山頂に到着。「にせ」と名前は付いているが、展望は藤原山よりも良く周囲360度視界が利く素晴らしい山頂だった。さすがに疲れたので、ここで大休止。バテるので無理やり菓子パンを口にするが、体が拒否しており、1つの菓子パンを食べるのに10分以上もかかってしまった。

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にせ藤原山からは藪に突っ込んで下っていく。

10:51 滑落

今日は「コケたら死ぬ」と自分に言い聞かせて慎重に歩いてきたつもりだったが、慣れない藪漕ぎで木の枝を掴んで前に進もうとしたところ、枝がボキッと折れ、バランスを崩して右の谷に頭から真っ逆さまに滑落。しかし、吹き溜まりで止まってくれて何とか助かった。頭を下にして止まったので、とりあえずこれ以上落ちないようにピッケルを雪面に刺して確保して起き上がるが、下を見るとスパッと切れており谷底が見えなくて「ここに落ちたら」と思うと怖くなってゾッとした。

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11:26 藪漕ぎ

にせ藤原山から滝が倉山への稜線上は藪が多く、アイゼンを引っ掛けないようにして歩く。

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ここは大して難しい箇所ではなく、稜線伝いに進んだのだが、驚きなのが稜線の下を巻いているトレースだ。巻いていけばかなり楽に前に進めるのだが、手前にすぐにでも崩れそうなスノーブリッジとクレバスがあり、ここは楽よりも安全に稜線伝いに進んだ。

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12:19 滝が倉山

滝が倉山の手前からは残雪豊富となり、歩きやすい残雪歩きが続く。にせ藤原山から小さなピークを何度か越えてきており、「そろそろ滝が倉山に着かないとおかしいな」と思いGPSを電源を入れるとそこが滝が倉山だった。付近の木に標識等はかかっておらず、稜線上の単なる小ピークに過ぎないような山頂なので、GPSの電源を入れて正解だった。GPSの電源を入れなければ、恐らく気付かずに通過していたと思う。

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滝が倉山を大水上山方面に振り返り見る

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滝ヶ倉山から平ヶ岳方面を望む。写真一番右のピークが剱ガ倉山。

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滝が倉山からは開放的な残雪歩きや樹林の合間の残雪歩きが続く。

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剱ガ倉山手前は雪庇が多いので、樹林の合間を縫って登っていく。

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14:23 剱ガ倉山

滝ガ倉山からは特に難しい箇所もなかったのだが、体力が無くてヘトヘトになりながら剱ガ倉山に到着。疲れるとサボりたくなるので、正直「ここでテント泊でもいいか」という気持ちになったが、付近は全て斜面になっており、テントを張ってもまともに寝られそうも無いので予定通り平ヶ岳に向かう事にする。

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14:53 1つ目のナイフエッジ

剱ガ倉山の山頂でパノラマ写真を撮影後、ここで無理やりにでもテント泊するか進むかで20分程も迷ったが、意を決して平ヶ岳に向かう。のだが、この時間で足元の残雪はグズグズでトレースを上を歩いても上から崩れてしまい、ここからは恐怖の残雪歩きが続く。写真は1つ目の恐怖地点のナイフエッジ。写真では伝わらないが、左右は切れていて滑落したら谷底真っ逆さまであり久々に恐怖を感じた。雪が締まっている朝方ならもう少し恐怖は和らいだのかもしれない。
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15:04 雪庇の崩壊跡

上の写真でナイフリッジを越えて左にトラバースした雪庇の崩壊地点。崩れ落ちた残雪も人間の身長よりも高くて、「自然の前では人間なんて全く歯が立たないな」と思った。

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15:12 2つ目のナイフエッジ

2つ目の恐怖のナイフエッジを渡る。写真に写っているトレースを歩く度に足元が崩れて本当に怖かった。荷物が無ければ大した事は無いのだが、デカザックを背負っているので自重は90キロを越えており、渡る際にバランスを保つのが難しく、今後につながる良い経験になった。

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15:27 剱ガ倉山を振り返り見る

恐怖のナイフリッジ等を越えて、剱ガ倉山を振り返り見る。パノラマ写真も撮れたし、もう二度と歩く事は無いと思い、数分眺めていた。

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15:37 十字のトレース

剱ガ倉山下の恐怖のナイフリッジを越えると、後は平ヶ岳までは開放感たっぷりの残雪歩きが続く。トレースを伝って歩いていると、トレースが十字になっている箇所があり、平ヶ岳沢へとトレースが続いていた。カモシカだろうか。

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15:51 2072ピーク手前

2072ピークの手前で足が前に出なくなる。朝からカップヌードル1つと菓子パン1つしか食べていないので、完璧にシャリバテになってしまった。一度シャリバテになると、ご飯を食べてある程度休まないと回復しないのは分かってるのだが、そんな事していたら日が暮れてしまうので水で腹をごまかして歩く。

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16:26 2072ピーク

シャリバテで歩くのは辛い。夏道なら10分もかからずに歩けるのだが、30分もかかってしまった。8年も山に登っているのだから、いい加減にシャリバテにならないように小まめに行動食を口にする習慣を身に着ければよいのだが、中々そうもいかず困ってしまう。

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17:13 平ヶ岳最高地点

数十歩歩いては休憩を何度も繰り返し、ついに平ヶ岳の最高地点と思われる箇所に到着。最高地点からは燧ヶ岳や尾瀬方面の山々が見えているのだが、もうヘトヘトに疲れており、この時点では達成感も喜びも何も感じず、ただただ早くテントを張って横になりたかった。パノラマ写真も撮影せずに、「早くテントを張らなきゃ」と三角点がある樹林帯エリアに向かう。

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17:23 平ヶ岳の三角点付近

風が出てきたのでなるべく木の横にテントを張ろうと思い、樹林帯に近づくと自分の胸程の深さのあるヒドンクレバスに両足丸ごと落ちてしまう。手以外は全部クレバスの中なので抜け出すのに一苦労。樹林帯といっても木の頭しか出ておらず、大して風も防げないし、再びヒドンクレバスに落ちるのも嫌なので、吹きさらしの最高地点に戻ってテントを張り、晩御飯も食べずにシュラフに入って18時過ぎには寝てしまった。
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3,4日目に続く

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