登山記録

剱岳(2004年8月28-29日)

日程・行程

8月28日(土)
国分寺駅-信濃大町駅-扇沢-黒部ダム-黒部湖駅-黒部平駅-大観峰駅-室堂-剣御前小舎-剣沢キャンプ場(テント泊)

8月29日(日)
剣沢キャンプ場-剣山荘-一服剱-前剱-剱岳-前剱-一服剱-剣山荘-剣沢キャンプ場(テント泊)

1日目の記録

夏季休暇の申請が無事通り10日間も休める事になったため、以前から計画していた剱岳~槍ヶ岳への長期縦走を実行する事とした。連休中は台風上陸の可能性があり途中で停滞する可能性もあるが、予定は7泊8日で予備日を2日とし万全な計画とする。それよりも問題なのが7泊8日分の食料が入った25kg以上あるザックであり、山に登る前に自宅から駅に向かうだけで疲れてしまい先が思いやられる。ヒーヒー言いながらも何とか立川駅に到着し、ムーンライト信州号に乗って長野に向かう。

07:00 扇沢

ムーンライト信州号で早朝に信濃大町駅に到着。駅前で扇沢行きのバスに乗って扇沢に到着するも、周辺はガスと雨で視界が悪く、旅の幸先から最悪の天候のようでがっくりだ。

07:55 黒部ダム

扇沢からはトロリーバスで後立山連峰の真下を通過して黒部ダムに到着。どうせガスってるんだよな・・・とぶつぶつ思いながら外に出てみると、青空が広がっており本当にびっくりした。黒部ダムには中々来る機会も少ないと思うので、ちょっとだけ観光し、黒部ダムの真上の通路を歩いて黒部湖のケーブルカー乗り場に向かう。

08:28 黒部平

黒部湖からケーブルカーに乗り黒部平に到着。次はロープウェーで大観峰まで移動するのだが、混雑しているためにすぐには次のロープウェーに乗れず、予約番号が記載された紙を受け取って乗車時間まで黒部平で暇を潰す。ちなみに長野県の扇沢が雨で富山県の黒部ダムが晴れの理由は写真の通りだ(雲の下が後立山連峰で山を越えた先に扇沢がある)。こちら富山県側は晴れでも長野県側は雨であり、こんな事って本当にあるんだなぁと思っていると、アナウンスで僕の予約番号が呼ばれ、今度はロープウェーに乗って大観峰に向かう。

09:24 大観峰

大観峰に到着。室堂行きのトロリーバスを待っている間、売店の柱に吊るされた天気予報に目が止まる。6つもの項目があるが、晴れの予報は2つしかなく何とも後ろ向きな天気予報だ。

10:02 みくりが池

大観峰からトロリーバスに乗り室堂に到着。トロリーバスやロープウェーなど何度も乗り換えて来たが、これで文明の力を使った移動は終わり。地上に出ると登山者や観光客で物凄く混雑しており、人混みが嫌いな僕は辛抱たまらず剣御前小舎を目指す。室堂の象徴でもあるみくりが池までは観光客で一杯であったが、みくりが池から先はめっきりと観光客がいなくなり、煩わしい事もなく剣御前小舎へ向かう事が出来た。

室堂のパノラマ写真を見る1室堂のパノラマ写真を見る2

みくりが池のパノラマ写真1みくりが池のパノラマ写真2

11:34 室堂平を望む

剣御前小舎へ向かう登山道は、振り返り見ると室堂を一望出来るので歩いていて気持ちが良い。登山道からは室堂バスターミナルや地獄谷からの蒸気まで丸見えだ。

室堂-剣御前小舎間登山堂のパノラマ写真を見る

12:48 剣御前小舎

剣御前小舎に到着し、サイダーを買って小屋前の岩場で休憩する。剣御前小舎からは今日テントを張る剣沢キャンプ場が見えているので急ぐ事は無いのだが、雲が出始めたので休憩も早々に先へ進む。

剣御前小舎のパノラマ写真を見る

14:33 剣沢キャンプ場

人気の山域だろうから「キャンプ場はさぞ賑やかだろうな」と思っていたのだが、思ったよりテントの数は少なかった。管理所で幕営代を支払った後に水場の説明を受けるが、「水は煮沸して飲んで下さい」との事であった。これは個人差があるので何とも言えないが、管理人が煮沸しろと言うのだから煮沸して飲んだほうが良いだろう。ちなみに僕は面倒臭いので煮沸せずにそのまま飲んでいたが、特に腹は壊さなかった(自己責任でお願いします)。

17:19 キャンプ場より剱岳を望む

便利が良い水場のすぐ横にテントを張り、付近にあった大岩に座って剱岳を見ながら夕食のパスタを茹でて食べる。水が豊富だと大好きな麺類が食べられるのでありがたい。17時になると青空は無くなり、辺りは雲に覆われて剱岳も顔を隠してしまった。明日は念願の剱岳登山であり、絶対に成功させたいので明日の好天を期待して早めにシュラフに入った。

2日目の記録

05:30 剣山荘

翌朝起きると少しガスっていたが、天気予報で「曇り時々晴れ」と言っておりどうやら雨は降らないようだ。剣沢キャンプ場からサブザックを背負って予定通り剱岳へ向かう。ハイマツに覆われたガレ場を過ぎるとすぐに剣山荘に到着し、ちょっとだけ小屋内部を見学し一服剱を目指す。

05:50 一服剱

剣山荘から先はいきなりの急登で、一服剱に到着する頃には剣山荘が遥か下に見えた。

06:31 前剱付近

標高が上がったせいかガスと同等の高さになり、視界が妨げられて気分が下がる。

07:02 高度感たっぷりのクサリ場

前剱を少し進むと本日最初の危険箇所が現れる。危険箇所と言っても写真で見ると物凄く危険に見えるが、実際に通過してみると大した事は無かった。

07:04 剱岳が見えてきた

ガスが取れたり再び湧いたり青空が見えたりするので、山頂の展望を期待しながら先に進む。

07:42 カニのタテバイ

剱岳名物、カニのタテバイに到着。難所とは言っても慎重に登れば足場はしっかりしているし問題ない。ここで注意しなければならないのは、自分自身よりも前(上)の登山者が落とす落石だ。実際に僕も前の登山者に石を落とされ、危うく頭に直撃を食らうところだった。

08:30 剱岳山頂

念願の剱岳の山頂に到達するも山頂はガスガスで視界は全く無い。残念だが、これでもう一度この山に来る目的が見つかったので次回に期待しよう。山頂では三角点を探しウロウロしている男性がいた。剱岳の標高は明治40年に2,998m、昭和5年に3,003m、昭和43年に再び2,998mと改定され、 3,000mにこだわりのある山である。僕は標高よりも展望を重要視しているので全くもって興味はないが、男性が余りにも必死になっているので僕も協力し、何とか探し当てる事が出来た。

剱岳のパノラマ写真を見る

09:23 雷鳥の親子に出会う

剱岳を下り、カニのヨコバイの手前辺りで雷鳥の親子に出会った。雷鳥は別に餌付けされているわけでもないのに人を怖がらず、人間とある程度の距離を取りながら平然と生活しているという何とも変わった鳥だ。子雷鳥は2匹おり、初々しさは残るが親雷鳥に近い大きさにまで育ち、もうそろそろ巣立ちも近いのだろう。子雷鳥を追うと親雷鳥とはぐれてしまう可能性があるため、雷鳥に近づいてはいけないのだが、近づかなくても目の前に雷鳥がいるのでカメラのズーム機能だけで十分雷鳥の写真を撮る事が出来た。

09:32 カニのヨコバイ

下山途中で山岳会の方々と仲良くなり、カニのヨコバイで記念撮影。カニのヨコバイでピースとは何とも余裕であると思うが、カニのタテバイと違って横に進み上からの落石の危険性も少ないので 、危なげなく通過する事ができた。

10:09 前剱

時折晴れ間も見えてきているので、ゆっくりと写真を撮りながら下る。前剱に到着すると、山岳会の方々が少し早い昼食を食べておりご一緒させてもらう。昼食の菓子パンを食べようとすると、山岳会の女性の一人が「食欲無いから・・・」と剣山荘の鮭弁当を丸ごと一個プレゼントしてくれた。そればかりでなく、僕がこれから槍ヶ岳まで目指す事を伝えると、「頑張って!」とミカン・クッキー・チョコレートなど沢山の食料を頂き、本当に本当にありがたかった。

前剱のパノラマ写真を見る

11:00 一服剱

天候が回復しているようで、だんだんと青空と剱岳の山容が見え始める。だが、あと一下りで剣山荘なので今更山頂に引き返すわけにもいかず、前剱からの展望を後にして一服剱を下る。

一服剱のパノラマ写真を見る

12:30 剣沢キャンプ場

山岳会の方々と一緒に一服剱を無事に下り終え、剣山荘に怪我も無く無事に到着。生ビールで登山の疲れを癒している山岳会の方々にお礼を伝え、「がんばってね!」と励まされて剣沢キャンプ場にある我が家に戻ってきた。テントに荷物を放り込み、振り返ると剱岳は山頂付近の雲が取れ始め堅牢な山容を僕にまざまざと見せ付けており、「後2時間遅く登っていれば・・・」と思うのであった。

念願の剱岳登頂は願い叶ったものの、山頂からの展望を望んでいないのでこの山には再びリベンジが必要である。今度は早月尾根経由で剱岳山頂を目指す事にしよう。明日は立山三山から五色ヶ原への縦走だ。まだ見ぬ素晴らしい風景を追い求め、僕の長期縦走計画はまだまだ続く。

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