日程・行程
8月30日
剣沢キャンプ場-別山-真砂岳-富士ノ折立-大汝休憩所-大汝山-雄山-一ノ越山荘-富山大学立山研究所-獅子岳-ザラ峠-五色ヶ原山荘(小屋泊)
8月31日
台風のため五色ヶ原山荘で停滞(小屋泊)
9月1日
五色ヶ原山荘-鳶山-越中沢岳-スゴノ頭-スゴ乗越小屋-間山-北薬師岳-薬師岳-薬師岳山荘-薬師峠キャンプ場(テント泊)
9月2日
薬師峠キャンプ場-太郎平小屋-薬師沢小屋-アラスカ庭園-雲ノ平山荘(小屋泊)
9月3日
雲ノ平山荘-祖父岳-ワリモ北分岐-水晶小屋-水晶岳-水晶小屋-ワリモ北分岐-ワリモ岳-鷲羽岳-三俣山荘-三俣蓮華岳-双六岳-双六小屋(テント泊)
9月4日
双六小屋-花見平-鏡平山荘-わさび平小屋-新穂高温泉
1日目の記録
05:46 剣沢キャンプ場
剣沢キャンプ場でテントを撤収し、立山方面に向けて出発だ。2日間に渡って眺め続けてきた剱岳とも今日でお別れである。今日は天候が良さそうなので昨日望めなかった剱岳の展望も今日登れば見られるのだが、明日辺りに台風がやって来る予報だ。という事で、今日中に山小屋のある五色ヶ原まで必ず辿り着かなければならないので剱岳登頂は諦めて出発する。
06:24 剱岳を振り返り見る
剣御前小舎と別山の分岐点に到達し、後ろを振り返り見ると剱岳が相変わらず堅牢な山容を僕に見せ付けていた。瓦礫と砂礫の登山道をジグザグに進み、別山を目指す。
07:28 別山
今日は月曜日なので登山者は余りおらず、気分が快適な状態で祠のある別山に到着する事が出来た。地図を見ると祠から10分程行ったところに「北峰」と記載されており、荷物をデポしてカメラと三脚のみを持って移動する。北峰に到着すると、北峰には小さなケルンと「別山」と書いた看板が置いてあり、剱岳の最高の展望所となっていた。
08:30 真砂岳
別山に戻り、砂礫の登山道を一旦下って登り返すと真砂岳に到着。別山からも見えた能登半島がここでも見えた。
09:59 大汝山
大汝山に向かう途中で休憩所を発見。単なる休憩スペースかと思っていたのだが、実際は山小屋であり、ここでカップラーメンを買って食べる。休憩所の主人は暇で仕方が無いらしく「暇だ、暇だ!」と言っていた。暇な主人と単独行の男性と3人で暫し雑談。このままずっと暇な主人の話相手となってあげたかったが、ラジオで天気予報を聞くと明日は富山県に台風が直撃するとの情報を聞いたため、慌てて先を急ぐ。休憩所を出て数分登るとすぐに大汝山に到着。ここからは黒部湖とそのバックの後立山連峰の展望が素晴らしかった。
10:31 雄山
雄山山頂にはゲートがあり、5百円を払わなければ山頂に行けない仕組みとなっていた。5百円の内訳は山頂に行ける権利と、鈴付きのお札、そして祈祷代であるが、僕は神仏崇拝・祈祷とかその手のものには興味が無い人間なので、パノラマ写真撮影のためだけに5百円を支払った。山頂を往復し、鈴付きのお札をザックに括り付けて先に進む。
11:55 富山大学立山研究所付近
雄山から急なガレ場を勿体無いほど下りきると、一ノ越山荘に到着。下る途中、半袖・短パン・スニーカーと、地上の通常生活の格好をした観光客が沢山雄山を目指して登っており、ここが本当に3,000m峰の一角なのかと一瞬疑ってしまった。一ノ越山荘から一登りすると、富山大学立山研究所に到着。ここからは間近に竜王岳と遥か先に本日の宿がある五色ヶ原の展望が広がっていた。まだまだ五色ヶ原までは歩くので先を急ぐ。
外人夫婦と出会う
富山大学立山研究所から先は全く人気が無くなり、自分専用となった登山道を進む。「このまま五色ヶ原まで一人かなぁ」と思いながら歩いていると、鬼岳から獅子岳に向かう途中で外人夫婦に出会う。僕は英語は喋れないが学校で習った単語位は覚えているので、ジェスチャーと交えながら会話をすると、今日は僕と同じ五色ヶ原山荘に泊まり、薬師岳・黒部五郎岳・槍ヶ岳・穂高岳を超えて上高地まで向かうという。奥さんは山慣れした感じがするが、旦那はぽっこりとお腹が出ているので、このまま上高地まで歩けるのか少し心配してしまった。
13:31 獅子岳
外人夫婦と仲良く一緒に獅子岳に登頂。獅子岳からは五色ヶ原が手の届く近さにあるのだが、ここからザラ峠まで約350mを下り、そしてまた登り返さなければ五色ヶ原に辿り付けないので、近いように見えて遠い感じがした。
ザラ峠
獅子岳からこんなに下ってしまっていいものかと思える程下ると、今回の山旅で楽しみしていたザラ峠に到着。歴史に興味が無い人間はこのザラ峠を単なる通過点として通り過ぎてしまうだろうが、歴史好きの僕には引き止められる場所だ。ザラ峠は戦国時代に越中(現在の富山県辺り)を収める佐々成正公が厳冬期に通過した峠である。彼は1584年に羽柴秀吉と徳川家康が対立した際に、家康側に付くが進軍に失敗。窮地に立つ彼が取った行動は、家康に秀吉との再戦を促すために、厳冬期の立山に入り、このザラ峠を越えて信州側に抜け、徳川家康がいる浜松へ向かうというものだった。結果は空しく翌年秀吉の越中征伐軍に降伏する事となるが、彼が取ったこのザラ峠越えの行動が史実であるならば、日本山岳史の記録に残る凄い記録になるに違いない。
14:48 五色ヶ原
ザラ峠から登り返して少し行くと登山道が木道となる。五色ヶ原ヒュッテを過ぎ、五色ヶ原の広大な風景を眺めながら進むと五色ヶ原山荘に到着。山荘の主人に「今夜台風が来るので、窓にバリケードを張って日が入らないので我慢してね」と伝えられ、部屋に入ると既に単独行の男性一人がおり、後から到着した外人夫婦と僕を含め、計4人が本日の宿泊者となった。五色ヶ原山荘では風呂にも入れてもらえ、また、食事もエビフライに手作りの豆腐など美味しく最高の宿泊所だった。明日は台風直撃のため1日停滞が確定。早起きしなくてもよいので夜更かしでもしたい所だが、結局疲れていたのかすぐに寝てしまった。
2日目の記録
18:09 五色ヶ原山荘前から槍ヶ岳を撮影
昨晩は台風で窓に張ってあるバリケードが取れるんじゃないかと思う位に風が吹き荒れ、「もしも昨日テント泊だったら・・・」と考えるとぞっとした。4日目は、台風本体が通過して外に出る事すらままならないので素泊まりとし、本を読んだり山荘の方々や宿泊客と話をするなどして1日を過ごした。夕方になると完全に台風が通過して雨も止み、外に出ると槍ヶ岳が見えたので写真を撮影。明日は薬師峠キャンプ場までの地図タイム合計10時間以上の長い行程なので、明日のために早めに寝た。
3日目の記録
05:00 五色ヶ原山荘出発
山に入ってから既に今日で5日目。五色ヶ原山荘で風呂に入っているので体は綺麗だが、5日も風呂に入らなかったら相当匂っただろうなぁ。五色ヶ原山荘に感謝である。2日間お世話になった山荘の方々にお礼をして、5時に出発。既に単独行のおじさんは先に出発し、外人夫婦はもう少し後に出るそうだ。
05:28 鳶山
ガスっていて視界が悪いが、夏道沿いに行けば迷う事なく鳶山に到着。ガスの中を撮影しても面白くないのでパノラマ写真は撮らずに先に進む。
06:38 越中沢岳
鳶山から少し行った所で先行していた単独行のおじさんに追い付く。話を聞くと、行けたら薬師峠キャンプ場まで行くとの事であり、「テント場でまた会いましょう!」と言って先に進む。展望も無くつまらない状態で歩いていると、いつの間にか越中沢岳に到着。まだガスが取れないので、ここでもパノラマ写真撮影は行わなかった。てっきり台風が雲をごっそりと持っていってくれたのかと思って今日は快晴を期待していたのだが、そうは上手く行かないようだ。
07:45 スゴノ頭
スゴノ頭に到着。この時間になってやっと天気も回復し、薬師岳方面の展望がばっちりだ。次の休憩ポイントのスゴ乗越小屋は何処だろうと眺めていると、ここから約400m下って100m登り返すとスゴ乗越小屋だ。「せっかく登ったのに、またこんなに下るのね・・・」と少し悲しくなる 。
07:58 秋は近い
スゴノ頭を下る途中で木々に実が付いていた。種類が良く分からないが、秋が近いという事なのだろう。
09:00 スゴ乗越小屋
急斜面を下ってスゴ乗越に到着すると、スゴノ頭方面から「おーい、薬師が見えるよ~!」と声がする。どうやら先程追い越した単独行のおじさんのようだ。スゴ乗越から100m登り返すとスゴ乗越小屋に到着。小屋の前にはウッドテラスがあり、疲れていたので登山靴も靴下も脱いで1時間程休憩 。日が当たって暖かいウッドテラスを素足で歩くのが気持ち良い。暫くすると単独行のおじさんも到着し、「登り返しはきつかったねぇ」と2人でラーメンを食べながら苦労を労った。
10:50 間山
スゴ乗越小屋から暫くは樹林帯の道が続く。完全に樹林帯を抜けると、そこには僕の大好きな左右に展望の利く稜線が待っていた。間山はピークというよりも単なる中間点に過ぎない場所であったが、一応「山」と名前が付いているのでパノラマ写真を撮影した。
11:35 北薬師岳を目指す
登山道には木々は無く、そこはもう岩稜の世界。薬師岳方面を望むとまた雲が出てきてやばい。山頂が雲で覆われる前に何とか薬師岳に到着したいので、急いで先に進む。
12:37 北薬師岳
何とか雲に覆われる前に北薬師岳に到着。北薬師岳から見る薬師岳直下のカールが素晴らしい。この薬師岳の渓谷群は国の特別天然記念物に指定されているそうだ。
13:26 薬師岳
次は薬師岳のパノラマだ!と勢い勇んで先に進むと、薬師岳が雲に・・・。「やっぱり朝4時に山荘出ておくべきだったかなぁ」「スゴ乗越小屋で1時間も休憩しなければよかったかなぁ」とぶつくさ後悔しながら岩場を歩いていくと薬師岳に到着。とりあえず記念にパノラマ写真を撮影したが満足出来ない内容であり、北薬師岳でパノラマ撮影できて本当によかったと思った。
14:24 薬師平
薬師岳を下ろうとすると、沢山の登山者が現れてびっくりする。薬師岳は人気の山のようだ。その点一ノ越山荘から薬師岳の間は誰も歩いておらず、違いにびっくりした。薬師岳を下ると薬師岳山荘に到着し、山荘前のベンチに座って少し休憩してから薬師峠にあるキャンプ場に向かう。
14:50 薬師峠キャンプ場
10時間もかかると地図に書いてあったので心配していたが、通常通り問題無い時間に到着出来た。薬師峠のキャンプ場はトイレもあり、水場もしっかりしていて中々良いテント場だ。夕方になると雨が降り出し、「台風の次は雨かよ~」とテントの中で一人悲しくなってしまった。
4日目の記録
11:30 薬師峠キャンプ場
朝4時に起きて天気を確認すると、まだ雨が降っていた。天気予報では昼前には止むと言っていたので、昼まで待つ事にするが、昼近くになっても止まないため、先に進む事を決断。レインウェアを着てテントを撤収するが、テントマットにキャンプ場の砂地の細かい砂礫が付着してドロドロしていて汚らしかった。薬師峠キャンプ場から15分程歩くと太郎平小屋に到着。小屋から実家に生存連絡の電話をかけてから雲ノ平に向かう。
12:19 木道上を進む
雨は降っているが視界はそれ程悪くなく、木道上を滑らないように気を付けて進む。
13:02 薬師沢小屋前の吊橋
台風と昨日・今日の雨で薬師沢は大増水。薬師沢小屋に到着して掲示板を見ると、高天原方面に通じる大東新道は「通行禁止・閉鎖」と記載されていた。僕がこれから進む雲ノ平に向かうルートを小屋の主人に確認すると、普段は渡渉する必要は無いらしいのだが、増水のため一箇所だけ渡渉が必要との事。双眼鏡を使ってその渡渉箇所を見てもらうと、「先程より水が引いている。スパッツを付けて歩けば水に浸からないかも」との事。吊橋を渡り、該当の渡渉箇所に行ってみると完全に足は水没する深さの渡渉だったが、スパッツを付けて走って渡ったら靴の内部に水が進入する事も無く無事に渡渉できた。
13:32 道とも思われぬ道をひたすら進む
渡渉を終えて登山道らしき道を進む。「らしき道」は写真の通りであり、登山道(岩?)の上に倒れた木が覆いかぶさっており、また、岩が滑るので通過するのに難儀した。
15:10 アラスカ庭園
薬師沢小屋からの標高差550mの登りは、道が悪いという事で時間がかかり疲れた。登り終えると雲ノ平に到達し、まずはアラスカ庭園のお出ましだ。でもどこがアラスカなのか良く分からない。 雑誌で「最後の楽園 雲ノ平」なんて記事を見て今回このルートを選択したのだが、単なるハイマツ帯のような気がするのは僕だけだろうか。もしかすると来た時期が悪いのかもしれない。
15:35 雲の平より槍ヶ岳を望む
雲ノ平山荘に向かう途中で槍ヶ岳が見えた。
15:56 奥日本庭園
今度は奥日本庭園が現れる。庭園に見えなくもないが、何とも微妙だった。
16:00 雲ノ平山荘へ向かう
アラスカ庭園からは木道がずっと続き、木道上を歩いて雲ノ平山荘に向かう。
16:10 雲ノ平山荘
雲ノ平山荘に無事到着。本当はテントを張りたかったのだが、雨の中でのテント撤収でテント内はびしょ濡れ。雲ノ平山荘に泊る機会など当分は無いだろうから、今日は奮発して夕食付きで山荘に泊る事にした。(写真は翌朝撮影した雲ノ平山荘。 )
17:56 北ノ俣岳方面に夕陽が沈む
日が暮れる前に祖母岳に登ろうと走って行くが、どこで道を間違えたのかあらぬ方向に進んでしまい、タイムアップのため来た道を戻る。雲ノ平山荘に戻る途中で北ノ俣岳方面に夕陽が沈み綺麗なので写真を撮影。山荘に戻って食堂に行くと、晩飯は何と石狩鍋である。こんな山奥で石狩鍋が食べられるとは思っていなかったのでびっくりした。ちなみに石狩鍋であるが、余りの美味さにご飯を3杯もおかわりしてしまった。食事を食べ終えて外に出ると、今度は星空が凄い。見えない星は無いのではないだろうかという位に星が見え、宿泊していた工事関係者の方々と消灯まで話込んで1日が終った。寝る直前に天気予報を確認すると、明日は「晴れ」との事で山頂からの展望に期待大だ。今回の旅は何だか展望に恵まれない感じなのだが、明日の水晶岳・鷲羽岳は大丈夫だろう。北アルプスのど真ん中からのパノラマを楽しみにして布団に入った。
5日目の記録
05:55 雲ノ平山荘を出発
他の登山者が3時半位に起き出して目が覚めてしまい4時に起床。今日は水晶岳と鷲羽岳の展望を見て双六山荘まで行けば良いので出発はゆっくりでよく、6時ちょっと前に山荘を出発。
06:00 凍った木道を歩く
「まずは祖父岳に登るぞ!」と気合を入れて木道上を歩こうとするが、木道が凍っていてこれがまたよく滑る。木道から下は結構な段差があり、落ちたら足を怪我をしそうな箇所もあり、滑り落ちないように慎重に木道を歩く。それにしても、この凍った木道歩きは剱岳のクサリ場よりも怖かった。
06:50 祖父岳より雲ノ平を望む
恐怖の凍った木道歩きが終ると、祖父岳への登りとなる。一登りすると祖父岳に到達し、後ろを振り返ると雲ノ平の景色が一面に広がっていた。こんな北アルプスのど真ん中にこんなに平らな場所があるなんて不思議だなぁ。
07:33 ワリモ北分岐
祖父岳を下ると岩苔乗越に到着。そしてまたすぐに登り返すとワリモ北分岐に到着。ワリモ北分岐からは南に進むと鷲羽岳、北に進むと水晶岳だ。結局この分岐点に戻って来るのでザックをデポしておこうと思ったが、分岐点という事もあ って人が通るし何か盗まれたら嫌なので、ザックを背負って北の水晶岳方面に向かう。
08:38 水晶小屋
ワリモ北分岐にザックをデポせずに背負って登っていたが、結局途中のハイマツ帯にデポして登り、水晶小屋に到着。水晶小屋は小さな山小屋で、定員は20名で1部屋という規模だ。だが水晶小屋から広がる景色は他の山小屋以上に素晴らしい。北アルプスのど真ん中で登山者の貴重な休憩場となる小屋なので、今後も登山者のために頑張って営業して欲しいなと思った。
09:20 水晶岳
水晶小屋から一登りすると水晶岳に到着。早速360度のパノラマを望むと、雲ノ平とその先に黒部五郎岳・薬師岳・槍穂連峰などの山々の展望が広がり、 今まで見たパノラマの中で文句無しのNo1だ。今回の長期縦走はガスってばかりでどうなる事かと思ったが、最後の最後でこんなに素晴らしい展望を望む事が出来て本当に最高の気分だった。
10:34 ワリモ北分岐
水晶岳で展望を楽しんだ後は、ささっと下って水晶小屋を通過し、再びワリモ北分岐に戻ってきた。今度は南方面に進み、鷲羽岳を目指す。
11:05 ワリモ岳
ワリモ岳山頂からは、黒部五郎岳の展望が凄い。今回は雲ノ平を選択してこちらに来てしまったが、今度また室堂から歩く機会があれば黒部五郎岳を経由して歩いてみよう
11:46 鷲羽岳
鷲羽岳の山頂に到着すると単独行の男性がおり、話を聞くと室堂から高天原温泉経由でここまで来たという事だ。この男性とは年が近いというのもあ り、ここから歩みを共にして新穂高まで歩く事となる。鷲羽岳の山頂からは赤茶けた硫黄尾根とその先に槍ヶ岳が見える展望が広がり最高だった。
12:32 三俣山荘
鷲羽岳直下の急斜面をジグザグに下りきると、三俣山荘に到着。暑くて背中が汗だらけであり、到着すると同時に山荘前のテーブルにザックを投げ出して 、山荘に走ってジュースを買いに行く。食料はたんまり持って来ているのだが、五色ヶ原山荘と雲ノ平山荘で食事をしているので、かなりの食料が余っていて全然ザックは軽くなっていない。食料が足りなくなるよりはマシなのだが、もうちょっと事前の計画が必要だなと感じた。
13:25 三俣峠
三俣蓮華岳を目指す。
13:47 槍ヶ岳を望む
槍ヶ岳は尖っているだけで目立つのに、前衛の硫黄尾根がまた荒々しくて槍ヶ岳を更に引き立たせていて素晴らしい景色だった。
14:13 三俣蓮華岳
三俣蓮華岳の山頂からはやけに三角の形をした山が見え、地図で調べると笠ヶ岳だった。沢山の登山者のHPで笠ヶ岳の写真を見たが、穂高岳側からみるとそんなに起伏の多い感じはしない山容だったが、今回黒部側から笠ヶ岳を見ると山頂部がそそり立っており、同じ山でも見る角度を変えるとこんなに違うもんなのだなと思った。
14:50 双六岳
槍穂連峰には雲がかかってきたが、こちら側はまだ大丈夫。正直な所、疲れていてパノラマ写真だけ撮影してさっさと双六山荘に向かってしまったので、この山頂の記憶が無い。
15:03 双六山荘へ下る
双六岳を下って双六山荘に向かう。登山道の脇に生えている草がもこもこして可愛いかった。
双六小屋
鷲羽岳で出会った単独行の男性とは、三俣蓮華岳からバラバラに歩いていたのだが、双六小屋の手前で合流。2人で双六小屋に到着し、早速テントを張るも風が強くて難儀した。テントを張り終えて単独行の男性と明日以降の計画について話すと、当初の予定では2人とも「西鎌尾根経由で槍ヶ岳に登って上高地に下山」というプランだったのだが、天気予報で明日以降の天気が下り坂と聞くと、2人して「新穂高温泉に下ろっか」と言い出し、明日は2人で新穂高に下る事となった。
6日目の記録
07:13 双六小屋出発
「6時半位に出発しよう」と単独行の男性と約束したのだが、寝坊+身支度に時間がかかってしまい、こんな時間に出発になってしまった。
07:58 花見平
鏡平かと思いきや、花見平で拍子抜け。 しかも花は全部終っており、何も見るものがなかった。
08:01 笠ヶ岳分岐
天気が良ければ無理してでも槍ヶ岳か笠ヶ岳に向かうのだが、天気が下り坂なのでやはり新穂高温泉に下る事にしてよかったと自分を納得させながら下る。笠ヶ岳への分岐点を下って鏡平山荘に向かう。
08:39 鏡平山荘
この山旅で密かに楽しみにしていた事が「鏡池に写る槍ヶ岳のパノラマ撮影」だったのだが、ガスっていてそもそも槍ヶ岳が見えないので、鏡池には雲しか写っていなかった。やはり山は晴れないと面白くも何ともないなと思った。鏡平山荘でソフトクリームを食べ、新穂高温泉へ下る。
10:19 秩父沢
秩父沢に到着。皆暑くて疲れているのか、沢の傍で涼みながら休憩していた。
11:00 わさび平小屋
もうここまで来れば怪我をする事もないので2人でホッと一安心。出発し小屋前のベンチで休憩して出発しようとすると、雨が降ってきてレインウェアを着るが、歩いてすぐに雨が止み、結局また脱ぐ事になってイライラした。
12:34 新穂高温泉
ついに長期縦走のゴールの新穂高温泉に到着。2人とも室堂から歩いて来ているので感動するのかと思いきや、普通に疲れていて「あぁ、やっと終ったねぇ」というテンションだった。感想なんかよりも、とにかく早く風呂に入りたくて仕方がなく、無料の共同浴場に2人で駆け込んで汗を流す。風呂から上がると、五色ヶ原山荘に一緒に泊まった単独行のおじさんが現れ、再び会えるとは思っていなかったのでうれしくて抱き合って再開を喜び合った。単独行のおじさんは黒部五郎岳に登った後は笠ヶ岳にも登っていたそうで、それであれば行動日数は一緒になるので納得。そうこうしているうちに、鷲羽岳で出会った単独行の男性が乗るバスがやって来て「2日間ありがとね~」と手を振って別れ、僕と単独行のおじさんは松本行きのバスに乗って帰路についた。
台風や雨などの影響で、完全に予定通りとは行かなかったが、無事に怪我無く7泊8日で歩き通す事が出来て大満足だ。僕の登山人生で始めての大縦走であり、こんなルートは誰も歩かないだろうなと思っていたのだが、意外にも歩く人はおり楽しい山旅でした。今度もし歩く事があれば、逆ルートか黒部五郎岳経由で槍ヶ岳 or 笠ヶ岳のルートで歩いてみたいと思う。