3連休を利用して北アルプスの白馬岳に行こうと思い、JRの夜行列車の切符まで買ったのだが台風の影響で運休になってしまった。台風が過ぎ去った翌日からは台風一過で快晴の青空だ。3連休で何処にも行かないのは勿体無いので先月登った富士山を見に大菩薩嶺に行く事にした。
塩山駅からバスで大菩薩登山口に向かう。登山口でバスを降り、30分程車道を登ると千石茶屋に到着。茶屋からは樹林帯の登山道に変化し、時折聞こえる車の音を聞きながら人力でひたすら登るとロッヂ長兵衛の建つ上日川峠に到着。上日川峠には駐車場があり、車があればここからスタートが可能だ。台風が過ぎ去った影響なのか今日は異常に暑く、余りにも暑いのでカキ氷を注文しリフレッシュして再出発する。
気持ちの良い日陰の林道を数分歩くと福ちゃん荘に到着。福ちゃん荘には人だかりが出来ており、坂本九さんの奥さんの柏木由紀子さんと娘2人によるTV撮影が行われていたのだが、僕にとっては山小屋のおばちゃんに確認して名前がやっと分かった程度の存在でしかないため、人だかりの横を通り先に進む。
福ちゃん荘は唐松尾根と大菩薩峠への分岐点になっているが、尾根上から富士山が見たかったので右の大菩薩峠を選択する。富士見山荘を通り過ぎ、樹林帯の登山道を登るとわずか40分程で大菩薩峠に到着。大菩薩峠には介山荘が建っており、テーブルや椅子が沢山設置されているので休憩するには良い場所だ。早速、大菩薩峠の看板付近に向かい、富士山や南アルプスの展望を望もうとするが、雲が出始めて見えたのは上日川ダムのみであった。
左右に草原が広がる気持ちの良い尾根を10分程歩くと、「親不知の頭」と呼ばれるピークに到着。後ろを振り返ると今まで歩いてきた稜線や介山荘の赤い屋根が見え、何とも気持ちの良い眺めだ。展望の良い親不知の頭で食事にしようと思うが、中高年の大パーティーに占拠されていたため、少し離れた場所にある展望の良い休憩スペースで昼食とする。
昼食では初めてガスストーブを使う。今まで登ってきた山で、ガスストーブを使ってラーメンなどを作っている人達を目にしていたので、羨ましくなり買ってしまったのだ。このガスストーブは家で使うような大型のものではなく、登山用に開発された小さなコンロなのだが、思った以上に火力が強く、すぐにお湯が沸く。これで山の上で温かいご飯を食べる事が出来るようになったので、心もお腹も満足だ。
昼食を済ませ、親不知の頭を下ると「賽の河原」という奇妙な地名の場所に辿り着く。河原といっても水は流れていないのだが、至るところに石を積み重ねたケルンが建っており、何故この名前が付いたのか想像できる。また、賽の河原では地上では目にした事のない花を目にする。シモツケソウという花で、つぼみの開き具合が星型で可愛らしい。
ログハウス風の非難小屋を通り過ぎ、ゴツゴツした岩肌の神戸岩、雷岩を登り終えると大菩薩嶺に到着。大菩薩嶺は木々に覆われて全く展望が無い、何とも寂しい限りの山頂だ。恐らく大菩薩峠にもう一度来る事はあったとしても、この山頂に来る事は二度と無いだろう。展望は無いが、もう二度と来ないという事で記念の写真を撮っていると、六ツ石山と同じく僕の頭目掛けてまたもやハチがやってくる。今回のハチは大型であり、刺されてはたまらないと早々に写真撮影を済ませ下山する事とする。
帰路は丸川峠経由で登山口まで向かう。北側の日が当たらない静かな樹林の中を下っていくと、1時間程で丸川峠に到着。丸川峠はガイドブック曰く富士山の展望を望めるらしいが、雲がかかっていて、ここでもやはり富士山は望めなかった。丸川峠には歴史を感じさせる小さな山小屋の丸川荘が建つが、人の気配が全くしない。無人の小屋なのだろうか?と興味本位で勝手に中を覗こうとすると、中でガタガタと音が聞こえ、思いもしない出来事にびっくりし、恥ずかしくなってその場を離れる。丸川峠の花が咲き誇る草原を抜けるとすぐに急な下りとなるが、そのうちに傾斜も緩み、歩きやすい林道に変化する。途中右手に見える沢で頭と顔を洗い、丸川峠から1時間半程で登山口に到着した。
期待していた富士山の展望は望めなかったが、大菩薩峠から山頂直下までの気持ちの良い稜線を歩く事が出来たので満足だ。ちなみに、登山口から塩山駅方面に十数分歩いた所にある「大菩薩の湯」は綺麗な町営温泉で気持ち良く温泉に浸かれて最高だ。今度は冬の空気が透き通った季節に登って、富士山や南アルプスの展望を眺めに行く事にしよう。
2003年8月11日(月) 曇り
大菩薩登山口-千石茶屋-上日川峠-大菩薩峠-大菩薩嶺-丸川峠-大菩薩登山口