日高山脈 登山記録 北海道

エサオマントッタベツ岳~カムイエクウチカウシ山縦走-4日目(2015年9月20-23日)

4時半起床。朝日が出るまでに朝食を食べようとするが、全く食欲が沸かない。朝でもするっと食べられるサタケの牛飯雑炊は昨日の夜に既に食べてしまっており、結局菓子パンしか選択肢がなく我慢して無理やり腹に入れる。5時過ぎにテントを出て山頂に向かい、暫くすると水平線から太陽が顔を出し、久し振りの朝日を楽しむ。更に暫くすると、下から鈴の音が聞こえてきて、昨日八ノ沢カールにテント泊して登ってきた単独行の男性が到着。記念撮影をお願いされたため、快く引き受けてイドンナップ岳と影カムエクを背景にした写真を撮影する。

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単独行の男性と山話で盛り上がっているうちに太陽も上がり、周囲が明るくなったところでテントに戻ってテントを撤収。単独行の男性も山頂から降りてきて、一緒に八ノ沢カールへ向けて下っていく。

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カムエクから八ノ沢カールまでの道はハイマツや笹薮が煩い箇所はあるが、昨日まで歩いてきた稜線に比べると大した事はなく、何ら問題なく標高を落とせた。

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暫く下っていくと視界が開けて、ピラミッドピークとカムエクを両方楽しめる最高の展望のテント場に到着。今日は、元気なGTさんはピラミッドピークを往復、もう登りは十分な僕は八ノ沢カールでお留守番の予定である。GTさんには先に行ってもらい、テント場でパノラマ写真をゆっくり撮影してから八ノ沢カールに下る。

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テント場から下ると草原の登山道歩きが続き、先を眺めるともうここからハイマツを漕いで歩くようなところは無いので歩くのも楽だった。

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稜線の下をトラバース気味に並行して歩いていくと、八ノ沢カールに続く道が下に延びている箇所に突き当たり、ここでGTさんとは一時お別れ。GTさんは踏跡を辿って真っ直ぐピラミッドピークへ、自分は八ノ沢カールを眺めながらカールの底に下っていく。

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カールの底に続く道は急だったが、ガスらない限りは迷わないような立派な踏跡が付いていた。

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カールの底に向かって下っていくと水の音が聞こえてくる。カール底に降り立つと踏跡の横に滾々と水が流れており、ここで水問題は解消。ちなみに、エサオマントッタベツ岳の北東カールで水を7リットル汲んできたつもりだったのだが、プラティパスの容量を勘違いしていて結局8リットル汲んできており、水の残量は1リットル程だった。涼しい秋だから水は足りたが、真夏だったら汗かきな自分の場合、途中で水を補給しない限りは10リットルは必要だったと思う。(九ノ沢カールで水が汲めるのが分かったので、今度歩く事があっても10リットルも担がないと思うが。)

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カールの底ではカムエク山頂で出会った単独行の男性がテントを撤収していた。自分も近くにザックを置いて世間話をしながら沢装備に着替え、今度はこのカールに泊まるかもしれないので周囲を散策。テントを張れそうな箇所をチェックしたりしながら、GTさんが下山してくるまで時間を潰す。

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暫くすると、GTさんが下山してきて再び合流。ピラミッドピークからの眺めは中々よかったようだ。

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昨日カムエク山頂から、タクシー会社に「札内川ヒュッテに15時」で予約しているため、単独行の男性を見送ってから遅くならないうちに我々も下山する。カールの底は広いのでガスっていたら下降点を見失いそうだが、今日は快晴で視界もよく、目印を見失うことなく下る事ができた。

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前方に美しい形の1629峰を眺めながら下っていく。

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八ノ沢カールからの下りはとにかく急であり、そして滑りやすい。慎重に歩けば滑落する事はないが、何度か滑って尻もちを付いた。

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急で危なそうな箇所にはお助け紐が設置されており、紐を掴みながら下っていく。

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10m前後の滝や、流れが幾筋もある幅の広い滝などを横に見ながら下っていく。太陽も完全に上がり、夏を思わせるような陽気で暑かったため、マイナスイオンを浴びながら歩けてかなり気持ちよかった。

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標高が下がると、高山植物がチラホラ咲き残っていて楽しませくれる。

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途中で物凄く長いナメ滝を見ながら下っていくと、大岩の上でGTさんが気持ちよさそうに寝ており、上三俣に到着。どこが三俣なのかと思ったが、少し下って振り返ると三方向の谷筋が合流しており、確かに三俣だった。

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上三俣には、人の背丈よりも高い残雪が残っており、厳冬期にこの沢がどうなるのかかなり興味深かった。単独行の男性に挨拶して下っていく。

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上三俣を下ると雪崩で流されてきたのか倒木が多く目立つ。沢にも倒木が浮いていてビーバーの巣みたいだった。

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上三俣から1時間弱の間、沢沿いの石の上と巻き道を繰り返し歩いていくと、テントが張れるスペースがある八ノ沢出合に到着。日差しを浴びるとかなり暑いので、日陰を探して倒木の上に腰を掛けて小休止する。

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支流から本流に合流すると川幅は広くなる。暑くてたまらないので、無理に歩かなくてもよいのだが、沢の中を歩いて足元だけでもクールダウンしながら歩いていく。

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もう限界。というのは体力ではなく暑さの方であり、二人してたまらずに水風呂に入ってクールダウン。何気に今回撮影した写真の中では、この写真が構図も状況も伝わる一番良い写真だと思った。

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水風呂でクールダウンした後はキラキラと日差しで輝く綺麗な水面を眺めながら沢を進み、暫くすると七ノ沢出合に到着。

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七ノ沢出合から沢を出て少し斜面を登ると立派な林道となり、長かった沢歩きはこれにて終了。このペースで行けば15時には余裕を持って到着できるので、開発中止となった日高横断道の名残の橋を見学しにいく事にする。

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七ノ沢出合から林道に上がり、坂道を少し登ると目の前が開け、しちのさわはしに到着。橋は広く、そして誰かが掃除でもしているのか?と思えるくらいに綺麗である。十分車が走れる程であるが、遥か先の札内川ヒュッテ前のゲートから車両通行止めとは何とも勿体ない。開発に関しては否定はしないが、wikipediaによると開発を再開すると後40年と980億円かかるらしいので、再開はあり得ないだろう。ちなみに、日高の野塚トンネルを掘っていた親父に話を聞いたところ、日高山脈の岩盤は非常に堅く、当時はトンネルを掘るにもダイナマイトが他の山に比べて2倍は必要で大変だったそうだ。工期も長くなるし金もかかるし中止になってよかったのかもしれない。

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橋を見学した後は一下りで七ノ沢出合に戻り、車が走れるほどの立派な林道を延々と歩いていく。

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途中で橋をかける工事をしており、目の前で自然破壊されている姿を見ると、さすがに開発を否定しない自分でも考えさせられるものがあった。

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林道は基本はダート道だが、橋の上はアスファルトなのでかなり歩きやすかった。

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札内川ヒュッテ手前にあるトンネルとトンネルの間に、憧れのコイカクシュサツナイ岳と1839峰の登山口があった。来年はここから1839峰に登る予定なので楽しみだ。

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最後のトンネルとなるかつらトンネルを潜るとすぐに札内川ヒュッテに到着し、これにて縦走は終了。捻挫を懸念していた林道歩きも終わり、怪我する要素は無くなったため、安心してGTさんとガッチリ握手して互いに喜び合う。

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タクシーは15時で予約してあるのだが、予定時間を30分過ぎても来ない…。さすがに30分過ぎても来ないので、これ以上待っても無駄である。携帯も繋がらないし、さすがにヒッチハイクを覚悟していると、カムエク山頂で出会った単独行の男性が自転車に乗って到着し、救世主が現れる。男性に事情を説明し、かつら旅館まで乗せて貰える事となった。

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車に自転車も載せないといけないのに、大人2人とデカザックまで乗せて貰って、男性には本当に感謝です。自分が北海道出身だから贔屓にしているわけではないが、北海道の山で出会う人は本当に良い方々ばかりで良い思い出しか残っていない。

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中札内村にあるかつら旅館まで男性に送って頂き、感謝のお礼を伝えて旅館の前でお別れ。この後はかつら旅館で風呂に入らせてもらい、タクシーでコンビニに寄って荷物を送付。その後は帯広空港まで移動して、何とか予定通りに東京に戻る事が出来た。

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2012年の晩秋に「丹沢~山中湖」の縦走後にバス停で出会ったGTさんと、帰りの電車内で日高山脈の話で盛り上がった事がきっかけとなり今回の縦走に至ったわけであるが、あの時GTさんと出会っていなかったら、恐らくカムエクに登ったとしても八ノ沢からのピストンだっただろうと思う。偶然に偶然が重なって機会が生まれ、今回憧れの縦走路を歩けたので本当にGTさんには感謝です。初めての沢歩き、初めての縦走路での藪漕ぎ、初めての日高の長期稜線歩きは、どれもこれも最初は不安ばかりでしたが、歩いてみたら本当に楽しかった・・・(最後なんてハイマツが可愛くてヾ(・ω・*)なでなでしていたし。)。来年はお盆にコイカクシュサツナイ岳、ヤオロマップ岳、1839峰が待っているので、今回の経験を糧にして登ろうと思う。

行程

カムイエクウチカウシ山(6:11)⇒八ノ沢カール下降点(6:33/6:39)⇒八ノ沢カール(7:01/8:26)⇒上三俣999(9:34)⇒八ノ沢出合(10:42/11:02)⇒七ノ沢出合(12:27)⇒しちのさわはし見学(12:30/12:39)⇒七ノ沢出合(12:40)⇒札内川ヒュッテ(14:12/15:33)⇒かつら旅館(16:10位/17:15)⇒帯広空港⇒羽田空港
行動時間:8時間1分

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