4時半起床。テントから顔を出すと晴れており、眼下にカムイエクウシカウシ山まで続く憧れの稜線が連なっているのが見えて最高の朝だ。地上の天気予報では今日から4日間連続晴れ、ヤマテンでは今日の昼に寒冷前線が通過するため天候が一時不安定になるものの、翌日以降は晴れる予報であり、エスケープルートの無い稜線歩きで天気が安定する程心強いものはない。
GTさんは2年前にエサオマントッタベツ岳に登頂済みなので札内JPで朝焼けを楽しむ事とし、僕は晴れの360度の大展望が確約されているエサオマントッタベツ岳に向けて5時過ぎに出発。朝食は再び札内JPに戻ってきてから取る事にする。
札内JPからエサオマントッタベツ岳の間はハイマツが煩いものの、足元を注意して確認しながら歩けば踏み跡を見失う事なく歩けた。昨日は午後から雨が降っていたので一人で露払いする事を覚悟していたのだが、全く朝露は無くてズボンの裾が濡れずに済んで助かった。昨日の沢歩きを緊張して歩いていたのか、早速筋肉痛が出ていて少し不安になるが、体が暖まってきたらそんなに気にならずに歩けた。
札内JPとエサオマントッタベツ岳の中間にあるテント場は事前調査で知っていたが、完璧にフラットで本当に良いテント場だった。
札内JPを出発して20分程の箇所で札内JPの肩から朝日が上がり、周囲が朝焼けに包まれて綺麗だった。
札内JPから30分少々でエサオマントッタベツ岳に到着。山頂には控えめな手作りの可愛い山頂標識が一つだけあり、自分好みの山頂で嬉しくなる。大きな山頂標識は景観を損ねる事もあり、個人的には全山この程度の標識であって欲しいと思っているが、そう思うのは少数派だろうか。山頂からは神威岳から幌尻岳へと続く稜線、札内JPからカムイエクウチカウシ山へと続く稜線、札内岳にナメワッカ岳にイドンナップ岳と憧れの山々が聳えており、文句無しの抜群の展望だ。GTさんを札内JPで待たしているのだが、申し訳ないがそんな事は忘れてパノラマ写真と写真撮影に没頭していた。
写真撮影に満足したところで札内JPに戻る。
札内JPは「ジャンクションピーク」ではあるが、この山容であり、その辺の山よりも十分見事な山だった。
エサオマントッタベツ岳から少し下ったところで札内JPをズームで撮影したところ、GTさんがバンザイしていて一人でウケた。(笑)
再び札内JPに戻り、山の朝食で定番になっているサタケの牛飯にコンビーフを入れた雑炊を美味しく頂き、今度は札内JPから写真撮影を楽しむ。
心残りが無い位に展望を楽しみ写真撮影を終えたところでテントを撤収し、7時45分に遂に藪の稜線に突入する。
稜線の進行方向右側(西斜面)はハイマツがびっしりでとても歩けたものではないが、稜線の左側(東斜面)はハイマツが途切れる箇所もあり、踏み跡を外さずに歩いていく。
途中まで踏跡を外さずに効率よく歩いてきたのだが、P1751付近と思われる東側の斜面で今歩いている箇所が踏跡なのか獣道なのか分からなくなり、ここでストップしてGTさんと協議。一般道なら進んでみて怪しければ戻ればよいのだが、斜面はそこそこ急である。下り過ぎて登り返す体力の消耗度を考えると、ここは思い切ってP1751まで登って上からルートを俯瞰して確認してみたいとGTさんに伝え、上部に3本生えている細い白樺の木を目印にして稜線に上がる。稜線は目と鼻の先にあったためすぐに稜線に到達し、念のためGPSを確認するとそこがP1751であり、その先も稜線通しで何とか歩けそうな事が分かりホッとする。
P1751はハイマツが少し煩いが、この先のルートが見渡せて中々良いパノラマが広がっていた。
P1751からハイマツを漕いで稜線通しに歩いていくと低木が密集したエリアに突き当たるが、枝の間をすり抜けて進むと再びハイマツ帯になり、踏跡に合流する。
P1751からP1760の間は前半は笹薮漕ぎ、後半はハイマツの急登をハイマツの枝を掴んで効率よく登っていく。
少し腕力も使ってハイマツの急登を登りきると、どこぞのツアー会社が開削したと言われるテント場が現れ、更に少し登るとP1760に到着。P1760からは文句無しの大パノラマが広がっており、ザックを降ろしてパノラマ撮影に夢中になった。
P1760で休憩を終え、ナメワッカ分岐へ向けて一旦下ると良いテント場を発見。ここは風が強い時でも安心して一晩過ごせそうだった。
更に先にも1人用テントであれば張れそうな場所があった。いつもGTさんに寝相が良い(微動だにしないらしい)と言われている僕であれば、ここでも十分に寝られそうな気がする。
P1760からナメワッカ分岐の間は、ヒグマの古い糞を発見した以外は特段イベントもなく、ハイマツ祭りの中をハイマツに弄ばれながら登っていく。
ハイマツ祭りが終了すると視界が開けてナメワッカ分岐に到着。ナメワッカ分岐のすぐ下にはテントが張れるスペースがあるが、強風時は大変そうだった。
ナメワッカ分岐では可愛いエゾイワツメクサが咲いており、花が咲いているとは思ってもいなかったので嬉しかった。
ナメワッカ分岐から先は岩稜帯となり、時折ハイマツ漕ぎもあるが今までに比べると断然に歩きやすくなる。
ナメワッカ分岐と春別岳の間の最低鞍部の先にある見晴らしの良いピーク(標高約1810m)でGTさんがザックを置いて休憩しており、周囲を見渡すと中々良い展望だ。残念ながらヤマテンの予報が見事に当たったようであり、カムイエクウシカウシ山も幌尻岳も目の前にある1917峰もガスに隠れてしまったが、ナメワッカ分岐の山容が「俺を見ろ」と言わんばかりに男前の山容でこれを見られただけでも十分だった。
GTさんは春別岳と1917峰の先にある1732のテント場まで行きたかったようだが、周囲の標高の高い山はガスに覆われ初めていてどうにもモチベーションが上がらない。そもそも疲れていて1917峰を越える気力が沸かない事を話し、今日はすぐ先にある春別岳の北斜面にあるテント場で終わりにする事にしてもらったら、現金なもので急に足が軽くなった。
途中で甘酸っぱいクロマメノキの実をつまみ食いしながら春別岳に向かう。
猿のように夢中でつまみ食いしながら登っていくと春別岳の山頂に到着。山頂にGTさんがおらず探していると、後ろから声が聞こえてきて既に北斜面のテント場に降りていてテントを張る準備をしていた。春別岳のテント場の周辺にはクロマメノキの実が沢山なっており、北斜面のみ開けていて風も避けられて中々良いテント場だった。この後は、ラジオを聴きながらまったりのんびり過ごし、昨日と同じカレーの晩御飯を食べて翌日に備えて早めに寝た。
札内JP(5:01)⇒エサオマントッタベツ岳(5:35/5:46)⇒札内JP(6:20/7:45)⇒P1751(8:41/8:50)⇒P1760(9:38/10:15)⇒ナメワッカ分岐(11:51)⇒春別岳手前標高1810m付近(12:45/13:05)⇒春別岳(13:30)(幕営)
行動時間:8時間29分