御坂・道志・都留 登山記録 甲信越

三ツ峠山・黒岳(2003年12月29-30日)

日程・行程

2003年12月29-30日

1日目:三ツ峠駅-登山口ゲート-開運山-三ツ峠登山口-御坂山-黒岳(テント泊)
2日目:黒岳-新道峠-あけぼの荘前バス停-河口湖駅

1日目の記録

年末である。「富士山に登りたい」という理由から登山を始めたので、今年最後の登山は富士山を望める山に行きたいものだ。早速、山と渓谷社の「富士山の見える山ベストコース」から富士山を望める山を探すと富士山の北に連座する三ツ峠山と黒岳がピックアップされ、今回はこのニ峰をテント泊で登る事とした。

三ツ峠駅で下車し、登山口へと車道を歩いて進む。駅から登山口までの道端には登山口の方向を示す案内板があり、迷わずに登山口のゲートへ到着する事ができた。ゲートを通り過ぎるとアスファルトの車道から土肌の道となりやっと登山らしくなってきた。「馬の背」を通り過ぎ、富士山を横目にしながら登ると小さな仏像が斜面に並立している「八十八大師」に到着。実際に八十八体あるか数えはしなかったが、かつての信仰の山であった事が感じられた。八十八大師からの傾斜が急な登山道を登りきると、右が岩壁で左が崖下となっている切り立った登山道に変化し、左に荒廃した山小屋を通り過ぎると巨大な岩壁「疾風岩」直下に辿り着く。昨夜はよほど冷えたのか、疾風岩の岩肌にある小滝ではツララが出来るほど凍っていた。疾風岩を通り過ぎ、上部に三ツ峠山荘が見えてくると山頂への到着も間近である。急な斜面を既設の鉄の階段や鎖を使って登りきると、三ツ峠山荘に到着した。


登山道より富士山を望む


小滝も凍るほど夜は冷えるみたいだ

三ツ峠山荘前には沢山のテーブルやベンチがあり、休憩するには良い場所だ。三ツ峠を構成する木無山と御巣鷹山と開運山のちょうど真中に山荘があるため、ここにザックをデポして登るのも良いだろう。三ツ峠山荘から数分登ると三ツ峠山最高峰の開運山の山頂に到着。開運山の山頂からの眺めは360度の大展望で富士山、南アルプス、八ヶ岳と素晴らしいのだが、御巣鷹山と開運山の山頂にある送電鉄塔等が景観を壊しているのが残念であった。昼食後、写真を撮って楽しんでいると、下から30人程の中高年の大パーティーがやって来てあっという間に山頂は占拠されてしまった。このような大パーティーがやってくると、単独行の僕に待っているものは「写真撮って下さい!」のお願いだ。単独行で更に大きな三脚を持っているので写真の腕が良いと思われてしまうのだろうか?単にパノラマ写真を撮りたいがために強風でもブレない三脚を持ってきているに過ぎないのだが。という事で結局4組もの登山者の記念撮影を行い、「自分は山の写真を撮りに山に登っているのだ、もうこれ以上人の写真を撮ってられん!」と黒岳に向かう事とする。

三ツ峠山のパノラマ写真を見る1三ツ峠山のパノラマ写真を見る2


三ツ峠山山頂より富士山方面を望む

三ツ峠山荘に戻り、黒岳に向かうべく西側の登山道を下る。この登山道は途中まで車で登って来られるらしく、道幅も広く平坦な道で登山道という感じがしない。途中でっかいザックを背負ったパーティーと挨拶を交わす。登るのは時間がかかるが下るのはあっという間で三ツ峠登山口に到着。登山口には駐車場とトイレが用意されており、近くにはバス停まであるので三ツ峠山を手軽に目指すならこの登山口が良いだろう。途中道端にパイプから水が流れている箇所を発見し、家から持ってきた水道水を捨て汲み直す。水場から少し車道を歩くと天下茶屋に到着。天下茶屋には沢山の車やバイクが停まっており店内も満員だ。天下茶屋からの富士の眺めの素晴らしい事は有名らしく、数人のカメラマンが撮影を楽しんでいた。自分もゆっくりと腰を落ち着かせて写真撮影を行いたいところだが、日が暮れるまでに黒岳に到着する予定であるため、ノンストップで天下茶屋から車道を挟んだ向かい側にある登山道を登る。この登山道は下から一気に尾根へ登る道となっているため傾斜があり、既に一山登ってきた自分にはキツイ。尾根に到達し、展望も変化も無くつまらない登山道を一人寂しく進む。結局、黒岳までの道程では夫婦の登山者1組と出会っただけで、途中廃墟となった山小屋等を通り過ぎると黒岳山頂に到着した。


南アルプスに夕日が沈む

黒岳の山頂は平坦な林の中にあり、展望は全く望めない。しかし山頂から数分の所に見晴らしの良い展望台がある事は調査済みである。展望台では「これぞ富士の展望台!」と言わんばかりに裾野が見事に広がった富士を望む事ができた。既に夕暮れで暗くならないうちにテント設営と食事の準備の両方を取り掛かるが、富士山と夕暮れという最高のシチュエーションが目の前に広がっていたため、テントも食事の準備も放ったらかしにして写真撮影を堪能する。完全に日が暮れると今度は富士山の手前の河口湖町に民家の明かりが一気に灯しだし、富士を背にした素晴らしい夜景を望む事ができた。函館や神戸の都市の夜景も良いが、河口湖町の夜景も良いものだ。富士の夜景を見ながら外で食事を食べようとするが、既に気温はマイナスに達しておりとてもではないが外にはいられない。結局いつもと変わらずテント内で夕食を食べ、寒いのでシュラフに包まっていると19:00には寝てしまった。


河口湖町の夜景と富士

2日目の記録

翌日、朝焼けの富士山を撮るために5:00に起きる。テントから外に出ると昨日と変わらない裾野が綺麗に広がった富士を望む事ができた。早速写真撮影に取り掛かろうとするが、よく考えると自分がいる場所は富士の北である。朝日を浴びる富士の東斜面はほんの少ししか見えず、朝焼けの富士の写真を撮る事は出来なかった。太陽の登る方向の事まで考えて山に登らなくてはいけないとは思いもせずに少し悔しがる。朝焼けの富士の写真を撮りたければ、恐らく前回登った石割山が良さそうである。今度また登る事としよう。

黒岳のパノラマ写真を見る


黒岳展望台より河口湖と富士を望む


展望台より御坂山塊と南アルプスを望む

テントを撤収し、展望台から黒岳山頂に向かうと、3組の登山者が休憩していた。話を聞くと自分と同じで今年最後の登山だそうだ。今年は他にどんな山に行ったかなどの話題をして盛り上がる。富士山の見晴らしが良いポイントをいくつか過ぎるとすぐに新道峠に到着。新道峠にはカメラと三脚のみを持ったカメラマンがいた。話を聞くと峠の直下に駐車場があるらしく、簡単に尾根に到達する事が出来るとの事である。新道峠も富士山を望める好展望の場ではあるが、河口湖の配置が良い黒岳展望台にはかなわない。この先の御坂山塊を縦走しようと思ったが、夜間の余りの寒さに風邪をひいてしまったらしく鼻水が止まらない。体調不良で正月を迎えるのは避けたいため、下山する事とする。新道峠からは樹林帯のつまらない急斜面の道をジグザグに1時間程下ると地上に 到達し、別荘地を抜けると河口湖畔にあるあけぼの荘前バス停に到着した。

今年から始めた登山であるが、まさかこんなにハマるとは思わなかった。元々写真が趣味であり、山と写真との相乗効果でここまでハマってしまったのだろう。来年は今年経験不足により 断念した南・北アルプスの展望が僕を待ち受けている。来年は今年以上に山に登り、パノラマ写真を撮りに撮りまくるのだ!

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