朝日・飯豊連峰 登山記録 東北

朝日連峰縦走-3日目(2007年8月11-13日)

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3日目の記録

03:24 狐穴小屋を出発

02:30に起床し、他の登山者の迷惑にならないようにひっそりと早出しようとしたのだが、昨日仲良くなった登山者が起きて「暗いから気を付けて歩いてね」と優しい言葉をかけてくれた。眠いだろうに申し訳ない。03:00になると管理人も見送りのためにやって来て、まだ出発まで時間があるので外に出て二人で30分程星を眺めながら話し合う。管理人から「流れ星が凄いから見てみな」と言われて空を眺めると、続々と流れる流れ星におったまげた。流れ星は何度も見た事はあるが、数秒に1度は流れたり同時に3つも流れたりもして、いくら願い事があっても足りないくらいだった。後々調べたところ、8月13日前後はペルセウス座流星群が一番の活動を迎える日らしく、あの流れ星の多さも納得だった。

04:12中先鋒

狐穴小屋の管理人はバリバリの山形弁で飾り気が無く気さくで本当に良い人だ。夜間歩行を心配してか小屋から離れた木道まで見送りに来てくれて手を振って別れたのだが、間違った方向に進んでいたらしく「おーい、そっちじゃないぞー」と方向修正してくれた。昨日は寒江山にタオルを置き忘れた事を伝えるとタオルをくれたり、何だかこんなに親切にしてくれるとまたこの小屋に泊まりたくなってしまう。来年は秋に紅葉を見にまた大朝日岳に訪れる事にしよう。勿論狐穴小屋泊まりで。朝露に濡れる起伏が少ない笹原の登山道をヘッドライトを照らしながら歩くと、中先鋒に到着。もう30分以上は歩いたのに、高度計を見ても狐穴小屋から標高が20m程しか上がっておらず、まだまだ先は長い。

04:39

ヘッドライトが要らなくなる位に明るくなると、登山道の全容が明らかになる。笹薮についた朝露で裾が濡れるのだが、気温が高くて暑い位だったので逆にひんやりして気持ちよかった。

04:50 朝日

朝日が顔を出し、山々がモルゲンロートに包まれる。今日も晴れで天気に恵まれた3日間だった。

04:54 タカネマツムシソウ

写真はブレブレだが、タカネマツムシソウが群生しており、朝日を浴びて綺麗だった。

05:09 以東岳を望む

あと一息で、以東岳の山頂だ。山頂手前の水平な地点でパノラマ写真を撮影した後は、バスの時間もあるので山頂目指して一気に登る。ここまでで5人程の登山者とすれ違ったが、もっと人気のある山域かと思っていたので意外だった。夏だから混むという認識はアルプスだけにしか当てはまらないのかな。

以東岳山頂手前のパノラマ写真を見る

05:17 飯豊連峰を望む

山頂手前で振り返ると、飯豊連峰がバッチリ見えた。今頃あの稜線上でも朝日を見て感動している人がいるんだろうな。

05:30 以東岳

以東岳に到着。岩がゴロゴロしている広い山頂からは、昨年よっしーと登った鳥海山と月山が見えて感動だ。昨日出会った登山者に「以東岳から自分が歩いた縦走路をを眺めると感動するよ」と言われていたので眺めてみると、長大な縦走路と遥か彼方先に大朝日岳が見えて本当に感動した。大朝日岳までは約13km、鳥原小屋までは約18kmもあるのだから、そりゃ感動もするわな。

以東岳のパノラマ写真を見る1以東岳のパノラマ写真を見る2

以東岳のパノラマ写真を見る3以東岳のパノラマ写真を見る4


以東岳山頂から大朝日岳方面を望む。


僕のお気に入りの山の一つ、鳥海山。


こちらは月山。去年は大朝日岳日帰りをしようとしていたのだが、途中で熊に吠えられて急遽月山に変更したのを思い出す。


山頂からは大鳥池も見えた。

05:56 以東小屋

パノラマ写真を撮影してすぐ下山する予定が、晴れの好展望の山頂なのでそうもいかずに長居してしまった。時間が無いので、駆け足で下って以東小屋に到着。こんな稜線のど真ん中にポツンと建っていて、冬に強風で吹っ飛ばされないのだろうか?

05:59 碧玉水の水場?

下っている途中で伊藤小屋方面を見ると、雪渓へと下る踏み跡があった。あの辺が碧玉水の水場なのかな?

06:24 直登コースを下る

以東岳から大鳥池までは、オツボ峰を経由するコースと直登コースの2つあり、どちらも地図タイムで2時間半と書いてある。オツボ峰コースは以東岳の展望が素晴らしい箇所があるらしいので、「寄り道してバスに間に合わないと困る」という事で今回は我慢して直登コースで下る。直登コースは山頂直下付近は視界があって展望を楽しめるが、すぐに本格的な下りになり、樹林帯で何も見えず登山道は浸食されまくって歩きにくいし、辛い事この上ないという感じの登山道だった。今度来る時は必ずオツボ峰コースを歩く事にしよう。

06:53 東沢の河原

以東小屋から標高差で800m程の急な斜面を一気に下ると、視界が開けて東沢の河原に到着。地図には「増水時渡渉注意」と危険マークが記載されているが、まったく水が流れていなかった。ここから先は大鳥池沿いに大鳥小屋まで進むコース取りなので、この河原を左に進むのかと思いきや、まっすぐ藪の中に突っ込むのが正解だ。赤布が巻いてあったので気付いたが、無ければ河原を大鳥池方面に進んでいたかもしれない。

07:11

河原から先は、大鳥池沿いの道を進む。写真が暗くて分からないが、水面ギリギリを進むのではなく一段上に登山道があるのだが、倒木がゴロゴロ横たわっていて少し歩きにくい道だった。

07:13

大鳥池に池の向こう側の山が写っていた。左が小法師山、右が1446ピークだと思う。

07:19 大鳥小屋(タキタロウ山荘)

幕営池と蛇口がついた水場を過ぎると、大鳥小屋に到着。地図には大鳥小屋と書いてあったが、小屋の看板には「タキタロウ山荘」と書いてあった。この大鳥池には伝説の巨大魚タキタロウが生息しているらしく、釣りもできるようで山荘間には釣り人が数名いた。山荘の写真を一枚撮影して下ろうとすると、小屋から管理人が現れ、何時に以東小屋を出発したか質問される。6時少し前である事を告げると、「じゃあ9時台のバスに間に合うね、ちょっと待ってて」と言って、また小屋に戻っていった。「何なんだよ、俺は急いでいるから早くしてくれー」と少しイライラしていると、管理人が小屋から戻ってきて「発電機が壊れてしまって・・・。これを朝日屋旅館の人に渡して」と伝言メモを手渡される。何なんだ、俺は飛脚か?でも困っているようなので引き受けて、9時のバスに乗り遅れないように急いで下山する。

08:02 七ツ滝沢橋

七ツ滝沢沿いの登山道をひたすら下っていると、視界が開けて七ツ滝沢橋に到着。この吊り橋の直前の谷側に少し傾斜のある登山道で、左足から今まで聞いた事のない「ブチブチブチ」という音が鳴り、悶絶。今までに一度も捻挫した事が無かったのだが、ここにきて人生初めての捻挫である。僕の足はよく蒸れるので、普段から登山靴の紐を緩めに縛って登っているのだが、これが悪かったらしく見事に足首が内側に曲がってしまったようだ。数分間悶絶していたが、足首を内側に曲げなければ痛いが何とか歩けたので、足を水平にして気を使いながら泡滝ダム目指して下る。

08:21 冷水沢の吊り橋

七ツ滝沢橋から20分程で、今度は冷水沢に架かる吊り橋に到着。結局使いもしなかったテント装備などが詰まっているザックの重さが左足に負担をかけて辛い。

08:40

山側に小滝を見ながら下る。

09:04 泡滝ダム

やっと泡滝ダムに到着。泡滝ダム付近にバス停があるのかと思いきや、ここにはバス停はなくまだ先のようだ。

09:11 泡滝ダムバス停

泡滝ダムを過ぎるとアスファルトの車道となり、駐車場が現れる。バス停は更に先らしく、駐車場から数分歩くとバス停に到着。何とか09:35発のバスに間に合ってほっとする。

この後は結局僕一人だけを乗せて、約40分程で朝日屋旅館前の「大鳥バス停」に到着。朝日屋旅館で大鳥小屋の管理人から預かった伝言メモを渡し、鶴岡駅行きのバスに乗り換えて鶴岡駅に移動。電車の時間まで2時間程あるので、駅前にある「東京第一ホテル鶴岡」のスパ・サウナ(2,000円)の展望大浴場で汗を流してから帰宅した。

ちなみに後日病院で検査をしたところ、足首の状態は軽度の捻挫と診断されたが、翌週に野球を見に行った帰りに再度足をくじき、再び病院に検査にいくと今度は「足首靱帯の部分断裂」と診断された。これで今年の秋山の計画は全面見直しとなり、「あの時急いで下山しなけりゃよかった」と思ってももう遅い。「山では急いで登ったり下ったりするのはもう止めよう」と思うのであった。

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