登山記録 南アルプス(南部) 甲信越

黒法師岳・バラ谷の頭-2日目(2014年5月3-5日)

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行程

2014年5月4日(2日目)
ヘリポート(05:31)ー二ツ山(06:10)ーP1812(07:27)-黒法師岳(08:48/09:36)ーバラ谷の頭(11:05/11:24)ー房子山(12:36/12:56)ー鋸山(14:34/14:42)ー千石平(14:59)ー千石沢のコル(15:18)

登山記録

昨日の夜は物凄く風が強くて外はゴーゴーと唸りをあげており、テントが歪む程であったが、どこでも寝られる自分にはそんなのお構いなし。4時に携帯のアラームが鳴りスッキリと目覚める。昨日の遅れを取り戻そうと早めに出発予定であったが、外に出て朝日を浴びた山々のパノラマ写真を撮ったり、昨日の夜に作っておいた海苔弁を食べたりしているうちに時間が経過し、結局出発は5時半になってしまった。

ヘリポートのパノラマ写真を見る

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テントを撤収し、笹薮に隠れた踏み跡を探しながら登っていく。 奥にテントを張っていた5人グループはまだ朝食中のようだった。
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ストックに鈴を付けて歩いていたのだが、重低音の「グルルルルー」という熊の唸り声が聞こえ立ち止まる。相変わらず地響きが凄いこの唸り声は、背後を除く周囲270度のどこから聞こえているのか分からなく、何回聞いても怖い。何度かやさしく「おーい」と言っているうちに唸り声が聞こえなくなったのでそのまま進む。ついこの間飛龍山で吠えられたばかりなので、今年は嬉しくないが熊の当たり年のようだ。
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二ツ山付近を通過。
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どこが二ツ山だったのかよく分からなかったが、地図を見る限りの二ツ山を下ってやせ尾根を通過し、すぐにピークを登り返した先にある尾根を進んでいると、本日2回目の「グルルルルー」が聞こえ立ち止まる。現場は左右が急斜面の笹薮で切れ落ちており、前後は尾根上の道で視界は十分だが、でも姿は見えない。やさしく「おーい」と言うと「グルルルルー」の返事があり何度か会話するが、これ以上やると熊が興奮しかねないので、立ち止まって待つことにする。「もしかして木の上か?」と思って上を見上げるがいなかった。しばらく大人しくしていると左右どちらか分からなかったが、ガサガサと大きな音を立てて何かが笹薮の急斜面を下る音が聞こえ、これで一安心。さすがに過去にも1日に2回吠えられた経験はないので、3回目はないだろうが念のためここから先もストックに鈴を付けて煩いくらいに鳴らしながら進む。
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地形図記載のP1812地点は胸位まで高さのある笹薮祭り。迷わないように忠実に尾根をたどっていく。笹薮の中の水溜りの水の表面が凍っており、この時期でも氷点下になるようだ。
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何とか激藪のP1812エリアを通過。残るは黒法師岳へと続く笹薮の斜面のみなのだが、これがまた急でありすぐに足が疲れてきて、少し登っては休憩を繰り返して登る。
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踏跡なんだか獣道なんだか分からない道ではあるが、忠実に山頂目掛けて笹薮を登っていくと、視界が開け黒法師岳に到着。山頂部には雪が沢山残っていた。周囲は木々がまばらで明るいが、山々をはっきりと見渡せる感じではないので、パノラマ写真撮影は記念撮影程度に行う。雪が付いていない付近に座って今朝半分食べ残した海苔弁を食べてエネルギー補給。「さて出発するか」と立ち上がると、ヘリポートで一緒になった5人グループの男性2名が到着し、暫し会話する。話を聞いたところ残りの方々も一緒に出発したのだが、キツくて途中でリタイヤしたそうだ。僕も昨日は途中まで「バラ谷の頭をピストンでもいいや」と思っていた時間帯があるので、キツい気持ちは十分分かった(笑)。

黒法師岳のパノラマ写真を見る

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男性2人にお別れして、バラ谷の頭に向けて一旦下っていくと、すぐに視界が開けて目の前にはバラ谷の頭から丸盆岳が見える180度の展望が広がっていた。場所が山頂直下であり、すぐ上に男性2人組も見えていたので、大きな声で「こっちに来たほうがよいですよ~」と伝え、3人でこの素晴らしい展望を共有。恵那山や雪をまとった御嶽山・中央アルプス南部の山々も見える最高の展望だった。ここでは記念ではなく本気でパノラマ写真を撮影。パノラマ写真を撮り終えて満足したところで、バラ谷の頭へ向かうため笹薮の急斜面を下っていく。
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黒法師岳山頂直下のパノラマ写真を見る

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黒法師岳からバラ谷の頭に向かう斜面は地肌が見えない位笹薮で覆いつくされており、ずり落ちないように笹薮を掴みながら下っていくが、笹薮の下が湿ってドロドロしているので2回コケてズボンがドロドロになった。だが、コケてもズボンが汚れても、目の前には憧れのバラ谷の頭が見えているので全く辛くなく恐らく笑顔だったにちがいない。
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笹薮の急斜面を下りきると、黒バラ平に到着。前にはバラ谷の頭、後ろには黒法師岳、周囲は広い平らな地形に笹薮と樹木が美しく、秘境の香りがする素晴らしい所だった。昨日頑張ってここまで来られればまた違った感動も覚えたのだろうが、ここには今後何度も通う事になるだろうから、次回の楽しみに取っておこう。笹薮を漕いで歩いているとトレラン男性4人組がバラ谷の頭方面からやってきて、しばらく会話してから水場のコルを通過してバラ谷の頭を登る。
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水場のコルからは踏跡を探しながら登っていく。途中で右に折れてしまってガレ場の方向に行ってしまったが、山頂の方向は明らかなので気にせずに登っていく。もうすぐでバラ谷の頭といった箇所で後ろを振り向いたら、黒バラ平とその先に黒法師岳や丸盆岳がドーンと見えており、たまらずにザックを降ろして三脚を取り出してパノラマ写真を撮影。この山への思い入れが強いのもあるが、過去に自分が撮影したパノラマ写真でTOP10に入る位のお気に入りであり、空気が澄んだ紅葉時期に再度ここからパノラマ写真を撮影する事を心に誓い、再び山頂を目指す。

バラ谷の頭直下のパノラマ写真を見る

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ついに念願のバラ谷の頭に到着。山頂に到着しても誰もいないのが深南部らしくて良かった。山頂は休憩するにはよいが、樹木があるので展望を望むなら黒法師岳方面に少し下ったところがベストだと思った。笹薮にザックを放り投げて座って休憩。展望を眺めながらスポーツ羊羹を食べて「やっぱ山はいいな~」と口に出した位最高の気分だった。

バラ谷の頭のパノラマ写真を見る

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念願の山頂なのでゆっくりしたかったが、もう既に11時を回っていた。予備日も1日あるのだが、明日以降は雨混じりの天気予報なので、今日のうちに少しでも先に進んでおきたい。思い残す事のないように何度も撮影してバラ谷の頭にお別れする。
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バラ谷の頭を南に進むとすぐに「本邦最南2000mの地」で何か得した感じになった。
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房子山へと続く尾根道は笹薮の開けた尾根道でありガスったら嫌な場所であるが、今日は視界がよいのでよくよく探すと見つかる踏跡を外さないように注意して進んでいく。
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途中で踏跡と間違って獣道に進んでいる事に気付き焦ったりしたが、リカバリして何とか房子山に到着。房子山は黒法師岳やバラ谷の頭に比べると地味な山ではあるが、深山の雰囲気がある落ち着いた山であり悪くない山だった。

房子山のパノラマ写真を見る

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房子山からも相変わらず笹薮はあるが、探せば何とか踏跡が分かり、笹薮でない箇所はあまり人が歩かれていない一般登山道と同じ感じなので今までに比べると少し気を楽にして歩けた。鋸山が近くなると、尾根が痩せてきて道に変化があって楽しい。しかも痩せ尾根上にひっそりと2株だけコザクラ(クモイコザクラかな?)が咲いており、花まで楽しませてくれた。
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痩せ尾根を登りきると鋸山に到着。山頂は樹林帯の中にあり、木々の合間から西日が差していて暖かくて気持ちが良い山頂だった。

鋸山のパノラマ写真を見る

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鋸山という位なので鋸の歯の形と同じく山頂部分は少しアップダウンがあり、しばらくいくと千石平に到着。千石平の標識から東側にコンクリート製の休憩所らしき建物があり、ブルーシートの覆いは破れているがトイレまであった。少し怖い感じがするが緊急時はここでテントを張れば雨風をしのげそうだ。
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千石平から急降下すると、千石沢のコルに到着。既に9時間以上行動しているが、明日は雨なので今日のうちに少しでも先に進んでおきたいところ。何とかまだ歩けそうなのでここで水を汲んでから考える事にする。
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千石沢のコルを下り、途中でザックをデポして水が流れていない河原沿いの道を下ると水場に到着。水量が少なく勢いよく水が流れていないので、木にぶら下がっていたナイスな水汲みアイテムを活用して今日明日の分の水を確保。今後この沢を下るかもしれないので千石沢登り口方面の写真も撮影して、ザックのデポ地点に戻る。
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ザックをデポした地点に戻ると、周りには平らなところはないが、ここだけは若干傾斜があるが平らと言えば平らに見えない事もない。水を汲んで重くなったザックを背負ってまた歩くのもキツイような気もするし、行動を終えるには良い時間というのもあり、結局ここでテントを張る事にした。テントを張り終え今日一日歩いている最中から楽しみにしていた「黒部の山賊」も面白すぎてすぐに読み終えてしまうと、千石沢のコルから男性2人組が降りてきて暫く会話する。この2人組はどこに行ってきたのか聞くのを忘れたが、昨日は山犬段から林道を歩いて千石沢登り口付近にテントを張ったとの事。山犬段~五樽分岐登り口間は1ヶ所崩落している事は知っていたが、千石沢登り口~五樽分岐登り口間の状態が分からず明日は尾根沿いに山犬段に向かおうしていたが、崩落個所が自分が知っている1ヶ所だけである事が実際に歩いて来た方達から聞けたたため、明日は林道を使って山犬段に向かい寸又峡に下山する事にした。
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今日の晩飯は、胡瓜のシーチキンマヨ和えとシーチキンカレー。ザックにはまだ1日分の食糧が残っていたため、サンマ缶など重いものを無理やり腹に詰め込んで19時位に寝た。
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