登山記録 南アルプス(南部) 甲信越

聖岳・赤石岳-1日目(2009年11月7日-9日)

登った山

聖岳(3,013m)、兎岳(2,818m)、中盛丸山(2,807m)、大沢岳(2,819m)、赤石岳(3,120m)

日程

11月7日(土)
便ヶ島(05:43)→西沢度(06:16)→薊畑分岐(10:29/10:58)→途中で20分位仮眠→小聖岳(12:17)→聖岳(13:37/13:53)→奥聖岳(14:08/14:15)→聖岳(14:30/14:45)→兎岳避難小屋(16:22) / 小屋泊

11月8日(日)
兎岳避難小屋(05:50)→兎岳(05:56)→中盛丸山(07:11)→大沢岳(07:34)→百間洞分岐(08:08/08:16)→百間平(08:57)→赤石岳(10:08)→赤石岳避難小屋(10:37)→赤石岳山頂→(10:41)→百間平(11:41)→百間洞分岐(12:05)→百間洞山の家(12:09/12:33)→中盛丸山(13:39)→水場分岐(14:26)→水場(14:32)→水場分岐(14:45)→兎岳(15:34/15:44)→兎岳避難小屋(15:50) / 小屋泊

11月9日(月)
兎岳避難小屋(05:26)→聖岳(07:29/07:55)→小聖岳(08:39)→薊畑分岐(09:12)→西沢度(11:21)→便ヶ島(12:00)

1日目の記録

代休が1日余っており、折角なので3連休にして先々週登れなかった聖岳に登る事にする。便ヶ島から聖岳をピストンする場合、日帰りもしくは1泊2日で可能だが、それでは休みが1日ないし2日余ってしまう。余った休みは居心地の良い聖光小屋に泊って青木さんと喋りまくってリフレッシュするのもよいかと思ったが、もうそろそろ南アルプスも冬山となる時期だ。南アルプスで秋を感じる登山は今週が最後になるかもしれないので、前回登った時にガスって良いパノラマ写真を撮影出来なかった赤石岳も含めてピストンする事にした。

05:43 便ヶ島 聖岳登山口

金曜に仕事を定時で上がり、便ヶ島に早着の予定も何だかんだで着いたのは5時20分だった。途中で2時間程仮眠はしたが、目を閉じると3秒で寝てしまいそうな勢いだ。数年前までは一睡もせずに翌朝山に登ったり出来たのだが、最近はそんな強行登山は無理になってしまった。聖光小屋の青木さんに挨拶してから出発しようと思ったが、まだ小屋内には灯りが漏れておらず起きている気配がしない。下山後に顔を出すことにして、早速聖光小屋付近にある登山口から出発する。
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06:13 西沢度への道を行く

登山口から斜面を少し登り、トンネルを通過すると後は平らな道が西沢度まで続く。紅葉の最盛期も過ぎたようで、彩り寂しい山肌を見ながら進んでいく。
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06:16 西沢度(標高約1,100m)

荷物渡し籠で有名な西沢度。夏場は河原に橋がかかっているようだが、橋は対岸に移動されており渡渉も少し厳しい。ここは荷物渡し籠を使わせてもらう事にして、一人でロープを引いて何とか対岸まで移動したが、自分の体重+重荷でロープを引く手がパンパンになって結構疲れた。ちなみに、この渡し籠はロープを解放させると真中(川の真上)まで戻ってしまうので、力の無い女性が重荷を背負っている場合は「乗ったはよいが対岸に辿り着けない」なんて事になるかもしれないので注意が必要だと思った。
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06:27 造林小屋

西沢度から少し登ると、造林小屋。歴史を感じさせる建物であり、仲間がいたら内部を見学しただろうが、一人では怖くて中に入れず、小屋の右手にある道を通って裏手に回り、聖岳に向かう。
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07:06 標高1,400m地点

途中で聖岳をピストンする男性に追い抜かれ、かなりの急坂を一人ゆっくりと登っていくと、標高1,400m地点。高度計を持ってはいるが、このような看板は非常に助かる。
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07:36 標高1,600m地点

登山道には標高200m毎に看板が用意されているようであり、今度は標高1,600m地点。登山道は地図で見ると等高線の幅も狭く急坂であり、この辺から重荷が辛く感じてくる。
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08:17 標高1,800m、2,000m、2,200m地点

苔生した登山道を標高差200m毎に40分もの遅いペースで、ヒーヒー言いながら登る。よく考えたら、便ヶ島から聖岳までは標高差2,000mあるが、過去に標高差2,000mをしかも重荷を背負って登った経験が無かったので、疲れるのも当たり前だと思った。
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10:10 氷

明け方はマイナスの気温になるのか水たまりも土壌も凍っていて、歩く度に土がバリバリ音を立てていた。
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10:29 薊畑分岐

長い樹林帯の尾根歩きが終わり、視界が開けてくると薊畑分岐に到着。ここからは、これから向かう聖岳や、光岳へと続く稜線上に上河内岳や茶臼岳といった山々を大きく望む事ができた。標高差1,400mを登ってきて、聖岳まではここから更に標高差600mもあり先が思いやられる・・・。
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薊畑分岐から見た聖岳。

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薊畑分岐から見た上河内岳。本当にキツかったので、こっちのルートに変更しようかと思った。笑

10:58 薊畑分岐から聖岳に向かう

薊畑分岐でパノラマ写真を撮影し、おにぎりを2個食べたら聖岳に向けて再出発。途中で「薊畑」の名の由来の通り薊が沢山咲いた跡があって、夏にはこの辺は一面紫色に彩られるのだろうなと思った。

薊畑分岐のパノラマ写真を見る

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見にくいが沢山の薊が咲いた跡が残っていた。

12:17 小聖岳

薊畑分岐からは再び樹林帯の道が続く。気温は10度程度と低いが日差しを浴びると温かくて気持ちが良く、眠気に負けて登山道脇に座って20分位寝てから再び登りだす。樹林帯を登りきり、視界が開けてくると小聖岳に到着。小聖岳は、聖岳の展望所と言った感じの場所で、目の前にドーンと聖岳が構えており見事だ。また、小聖岳からは右手に富士山、左手に今日の最終地点の兎岳が見えていて、今までの疲れがちょっとだけ吹っ飛んだ感じがしたが、この先の急坂が丸見えなのでまた疲れてきた。

小聖岳山頂のパノラマ写真を見る1小聖岳山頂のパノラマ写真を見る2

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小聖岳からは聖岳台崩壊地とその先に兎岳が見えた。

12:33 急坂を登る

もうヒーヒーの「ヒー」も出ない位疲れていて、数歩歩いては休むを繰り返しながら登っていく。
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13:07 富士山を望む

夏場は大体10時を回ると富士山に雲がかかってくるが、今日のように空気の澄んだ秋は1日中富士山が顔を出していてくれる。とは言うものの、何度も山頂手前で富士山に雲がかかってしまい残念なパノラマ写真となった事が数知れずあるので、気持ちだけ急いで登る。(足はついていかなかった・・・。)
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13:37 聖岳

砂礫・ガレ場の登山道を登りきると、ようやく聖岳の山頂。標高差2,000mを登りきった事で珍しく達成感で一杯だったが、それよりも体は三脚とカメラを持ってパノラマ写真を撮影する行動に移っていた(笑)。山頂には誰もおらず、山頂からの360度の大展望は一人占め。山頂からは富士山は勿論、目の前には大きな赤石岳、光岳へと続く南アルプスの南部の山々、中央アルプス、遥か先には仙丈ヶ岳や北アルプスまでもが見えた。

聖岳のパノラマ写真を見る1聖岳のパノラマ写真を見る2聖岳のパノラマ写真を見る3
聖岳のパノラマ写真を見る4聖岳のパノラマ写真を見る5

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聖岳山頂。相変わらずこの標識は墓石みたいだ。

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聖岳山頂からは赤石岳がデカい。

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聖岳山頂から小兎岳・中盛丸山・大沢岳とその先に中央アルプス・御嶽山を望む。

14:03 奥聖岳に向かう

聖岳の山頂で展望とパノラマ写真を撮影し終えたところ、奥聖岳に向かう。
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14:09 奥聖岳

奥聖岳には大きな山頂標識等は存在せず、ケルンだけが積み重ねられた寂しい山頂だった。しかし展望は抜群で、聖岳の山頂よりも富士山や赤石岳に近い感じがする中々のパノラマだった。

奥聖岳のパノラマ写真を見る1奥聖岳のパノラマ写真を見る2奥聖岳のパノラマ写真を見る3

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奥聖岳山頂から赤石岳を望む。

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奥聖岳山頂から笊ヶ岳とその先に富士山を望む。

兎岳へ向かう

奥聖岳から聖岳に戻った後は、今日の寝床の兎岳避難小屋へと向かう。聖岳から兎岳の間の足元にある岩盤は赤石岳の名の由来となった赤褐色のラジオラリヤ岩盤であり、珍しい色の石に時折石を拾って眺めたりしながら進む。
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15:30 聖兎コル

聖岳を標高差400m程下りきると、聖兎コルに到着。コルは痩せ尾根になっており、ここから標高差約140m程を登り返して聖岳避難小屋に向かう。
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16:04

聖兎コルからの道は、ハイマツの間を通るガレ場の道を登っていく。
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16:20 兎岳避難小屋分岐

聖兎コルから標高差140mを登りきると、兎岳避難小屋との分岐に到着。分岐からは目の前に兎岳避難小屋が見えていた。
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16:22 兎岳避難小屋

分岐からハイマツの間にある細道を下っていくと、荒廃が進んだ兎岳避難小屋に到着。事前に聖光小屋の青木さんから兎岳避難小屋が改修された事を聞いていたのだが、小屋の外壁は写真の通り崩れ、扉も石で固定しないと閉まらず見事な崩壊っぷりだ。しかし扉の前の石をどけて中に入ってみると、小屋の中に新たに小屋が作られており、雨風はしのげるようになっていて、これがまた綺麗で快適で外から見た小屋とのギャップに驚いた。小屋の中は上手く寝れば7~8人(かなり狭いが)は何とか寝られそうな感じで、壁の棚には携帯トイレまで常設(便座は勿論無いが)されていてこれまた驚いた。
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こちらは小屋前の平地。テントは4張位は張れると思う。

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兎岳避難小屋内部。壁や天井は光を反射する素材のため、ヘッドライト1つで小屋内はかなり明るくなる。

この後は、疲れていたのか晩飯を食べて夕焼けや星空を望む事もなく、シュラフに入って翌日に備えて早めに寝た。

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