日高山脈 登山記録 北海道

エサオマントッタベツ岳~カムイエクウチカウシ山縦走-1日目(2015年9月20-23日)

6時起床。6時30分に食堂に行き、登山前に最適な栄養バランスの取れた朝食を食べてお腹を満たす。ザック等のパッキングに関しては前日に済んでおり、着替えるだけで出発準備は完了。

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前日に予約してあるタクシーが7時30分に迎えに来るまで時間が余ったため、旅館の写真でも撮ろうと外に出てみると、旅館の建物の真中に螺旋階段を発見。登ってみると旅館の屋上に辿り着き、中札内村の360度のパノラマを望む事ができ、建物越しに遠目ではあるが日高の山々も見えた。

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7時30分頃に旅館前からタクシーに乗り、登山口に向けて出発。前方に十勝幌尻岳を見ながら進み、カフェらしきログハウスの建物がある「17」番の標識がある分岐を左に曲がるとダート道のエサオマントッタベツ林道に入る。人気の無い林道を進行方向右側に民家らしき建物、左側にトッタベツヒュッテ、右側に木製の入林届のボックスがあるゲートを通過して更に奥に進んでいくと、「22」番の標識がある車が入れる最終地点に旅館から約45分で到着。料金は8,750円だった。「山深いイメージのある日高の林道はどれ程荒れているのだろう」と思っていたのだが、タクシーの車種がプリウスだったが全く問題無く終点まで走行出来たので、今後実家で車を借りて自分の運転でもここまでは来られそうだ。

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入林届のボックスを通り過ぎてしまったため、タクシーの運転手に登山届を渡して帰り際にボックスに入れて貰うようにお願いし、タクシーが去っていった所でいざ出発!と思ったが、GTさんが僕の沢靴を見て「何それ?」というので見てみると、沢靴の紐の結び方が登山用品店のディスプレイに陳列されていたままの状態であり(表現難しいがとにかく変な結び方だった)、こんなんで大丈夫なのか・・・とGTさんも思っただろうが、自分でも不安になる。沢靴の紐を結び直し今度こそいざ出発!

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22番の標識の目と鼻の先にある金属製のゲートの横をすり抜けて進むと、いきなり肩位の高さのある藪漕ぎが続く。途中で岩の上を通過したりして藪が途切れる箇所も何度かあったが、全体的には藪に覆われている感じだった。途中でGTさんが、「fukaちゃん、標識」というので見てみたら、確かに標識があり、今は藪に埋もれているがかつてはこの辺まで車が入っていたのだ。

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30分少々藪を漕いでいくと、入渓点に到着。入渓点直前にはテントが張れるスペースがあった。

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一昨日から雨が連続して降っていたのだが、小雨程度だったようで水量には全く問題なく入渓開始。

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普通、沢を歩く人は一眼レフカメラなんて首からぶら下げていないと思うのだが、今回は軽量化のためにコンデジは持ってきておらず、全て一眼レフカメラで撮影。GTさんは沢でも歩くのは速く、僕が撮影しているうちに30~50mは先に行ってしまう。こちらとしては沢は初心者で不安な面も多いため、なるべく離れずに歩きたいが、写真も撮りたい。ということでこちらが急いで追い付くしかなく、追い付くのに必至だった。現在二百名山を巡っている田中陽希さんのカメラマン達も同じ感じなのだろうか。

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初めての本格的な沢歩き(初級の沢なのでしょうが)は、今まで何でやらなかったのかと後悔する程歩くのが楽しい。前を歩くGTさんの足さばきを見ながら、コツを吸収して沢靴のフリクション性能も分かってくると、登山靴では絶対にありえない濡れた岩の上をピョンピョン飛び跳ねて渡れるようになり、背中のザックの重さも忘れる程楽しかった。

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入渓点から1時間位で二俣(C823)に到着し休憩。山ではクリフバーと菓子パンを1個ずつだけ食べれば何とか1日歩き通せる事が最近の山行で分かり、シャリバテしないようにここで無理やりクリフバーを1つ腹に入れた。

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二俣から上二俣までの間は、初心者の自分でも難しいと感じる箇所は少なく、快適な沢歩きが続く。途中でGTさんが振り返り「fukaちゃん紅葉!」と言うので先を見上げると、山肌が紅葉しておりエサオマントッタベツ岳の北東カールの紅葉が早くも楽しみになってきた。

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上二俣の手前でテントスペースを通過。

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テントスペースを過ぎて再び沢に入って進んでいくと、上二俣(C997、山スキー沢出合)に到着。丁度1時間弱歩いたのでここでも休憩。シャリバテ防止に無理やり菓子パンを1つ食べた。

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GTさんから、上二俣を進行方向左に折れて進む沢は「山スキー沢」と呼ばれている事を教えてもらい、我々は進行方向どおり北東カールに向けて進む。(下の写真を右に折れて進む。)

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上二俣からは目で分かる程一つ一つの岩が大きくなり、岩の上を歩くのが好きな自分としては更に歩くのが楽しくなる。山肌の紅葉も近づいており、北東カールに近づいている事が分かる。途中でナメワッカ岳に登るというご年配の方を含む2人グループに出会い、モチベーションとパワーを貰って先に進む。

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そういえば後ろを全く振り返っていないな、と思って振り返ってみたが眼下に広がる山の名前は全然分からない。神居岳の東に延びる尾根辺りの展望だろうか。

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地形図記載の標高1450m辺りから滝が多くなり、ここが最も不安視していた箇所だったのだが、滝は全て右側に巻き道があり、個人的には全く問題なかった。ただ、この巻き道を雨の中下る事になった場合は、経験値の少ない自分は冷や汗かいて下る事になり難しいと思う。

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途中で1ヶ所右に巻きすぎて涸沢を登り詰めてしまうが、すぐに気付き戻って再び滝沿いの正規の巻道に戻って登っていく。

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滝エリアを過ぎると、今度は300mはあろうかと思える美しいナメ滝エリアに突入だ。今回の沢歩きで最も楽しみにしていた箇所であり、写真で見た通りに本当に素晴らしかったが、天気が良かったら更に素晴らしかったと思う。と、気分が高揚しているのを邪魔するかのように小雨が降ってきて、この先着替えるポイントも少ないと思われたため、ここで雨具を上だけ着て登っていく。

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ナメ滝エリアを過ぎると、傾斜が急になりこれを登り切ると北東カールが近い事が想像できた。

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傾斜のキツイ沢を登り詰めると、水量はどんどん少なくなり目の前についに憧れの北東カールが!と思ったが、ガスでカールの下部しか見えずがっくり。紅葉の北東カールの360度の大展望なんて中々見る機会がないので残念だが仕方がない。逆に、翌日以降は連日晴れの予報であり、稜線上でこれだけ天気に恵まれる事も珍しいはずなので、前向きにとらえて残念な気持ちは心に押し留めておいた。

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今回の山行で使えるかなと思って買ってきておいたスコッチブライト セルロースクロスで濡れた足を拭き、少しでも重さを軽減するために濡れた沢靴の水分をセルロースクロスで吸収させて軽量化。乾いた靴下と登山靴に履き替えると足元がさっぱりとして超気持ちよかった。だが、今思うと札内JPまで沢靴で行ったほうが靴を濡らさずに済んで効率的だったのかもしれない。

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北東カールに流れる小川の水を7リットル汲んでザックに入れて背負ってみると、久しぶりの20kgオーバーのザックとなり「こんなの背負って明日以降稜線を歩けるのか?」と本当に不安になった。

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北東カールで水汲みとカールを登る準備が完了したところで、途中で出会ったナメワッカ岳に向かうグループの方々が到着し、「道分かりますか~!」「左~左~」と大きな声で札内JP東の尾根上ピークに続くルンゼを案内してくれて、気遣って頂きありがたかった。案内どおりの方向に登っていくと、おっぱいの谷間のような場所に一本続いているガレた道にぶつかり、ガレた道から左に外れて急な草付きの斜面を登っていく(以下の写真の赤線部分)。ちなみに、このガレた道を登っていくと、進退窮まり大変な状態になる事は事前の下調べで分かっていた。

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バリエーションルートなので正規のルートというのは無いのだろうが、一番歩かれているルートのようでルート沿いには赤テープ等の目印がしっかりとあり、迷う事なく先に進めた。初めての本格的な沢歩きで疲れてきたのか、GTさんとの距離は開くばかり。あまり離れないように必死についていく。

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斜面はどんどん急になり、雨に濡れた枯れたリンドウを横目に登っていくと、空が開けてついに憧れの稜線上に到達。ガスっていて視界はないが、憧れの稜線上に立っている事だけで大満足だ。技術的に心配していた沢歩きもGTさんにあまり迷惑をかけずに歩き通せたし、ホッとした。

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札内JPまでは稜線上をハイマツをかき分けながら進んでいき、これが明日以降延々と続くのかと思うと不安になるが、結局はO型で「何とかなるだろう」と思ってしまう自分がいた。無事に札内JPに到着し、GTさんと固い握手をして到着を喜びあい、寒いので早速テントを張って中に入ってやっと落ち着いた。稜線上はかなり寒く、テントの紐を解くのもおぼつかない程、末端冷え性の手はかなり冷え切っていた。

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テント内で着替えてまったりしていると、目の前のガスが途切れてきて眼下にエサオマントッタベツ岳へと続く憧れの稜線が見えてきて2人して大興奮。GTさんは一度見た事がある展望のようだが、それでもやはり興奮は隠せない感じだった。

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札内JPより札内岳を望む。

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札内JPよりエサオマントッタベツ岳北東カール、エサオマントッタベツ川を望む。

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札内JPよりエサオマントッタベツ岳を望む。

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札内JPより、南西のペッピリガイ沢沿いの紅葉を望む。

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札内JPよりカムイエクウチカウシ山を望む。

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札内JPより、ゴキゲンなGTさんを望む。(笑)

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天気も回復してきて、もしかしたら物凄い夕焼けを見られるかと思ったが、日暮れ間際に再びガスってきて願いは叶わず。夕食のカレーを食べ、明日から始まる藪漕ぎに備えて早めに寝た。

行程

かつら旅館(7:27)→エサオマントッタベツ川出合(8:15/8:30)→入渓点(9:03)→二俣-C823(9:57/10:07)→上二俣-C997(11:14/11:25)→北東カール(13:17/13:52)→稜線(14:52)→札内JP(14:59)(幕営)
行動時間:6時間29分

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