登山記録 |3日目
三俣山荘(05:45)-三俣蓮華岳(06:38/06:44)-双六岳(08:30/08:42)-双六小屋(09:50/10:18)-鏡平山荘(12:14)
4時起床。昨日の教訓から結露で濡れたテントをタオルで拭いて乾かしてから撤収し、5時半に出発。天気予報では晴れのち雨という不安定な予報だったが、午前中は晴れるだろうという期待とは裏腹に付近はガスっていた。今日の行程は過去に一度晴天の下歩いた事があるので、そんなに残念になる事もなく、まずは三俣蓮華岳に向かう。ちなみに今日の目的地は三俣山荘から地図タイムで4時間40分先の箇所にある鏡平山荘であり、ゆっくり・まったりの計画だ。
三俣山荘のテントサイト。後ろの謎の石室は立ち入り禁止となっていた。
三俣山荘のテントサイトの横の道を登っていく。途中で後ろを振返ると鷲羽岳が半分ガスに覆われた姿となっており、標高2700m位から上部にガスがかかっていた。三俣峠に到着しこれから天気が好転する可能性があるので巻道には向かわずに三俣蓮華岳への登りを選択し、軽く登るとすぐに三俣蓮華岳に到着。山頂は相変わらずのガスであり、パノラマ写真を撮影する気にもならない。三角点の写真とまみこさんの記念写真を撮影して、双六岳に向かう。
三俣蓮華岳の山頂から双六岳方面に向かうと歩いてすぐの所に黒部吾郎岳方面への分岐があり、標識の通り双六岳方面に進む。三俣蓮華岳から双六岳への道は最初は登り下りとはいえないような傾斜の道が続き、登山道の左右に花を見ながらしばらくゆく。
双六岳への道を歩いているとガスが薄くなり青空が見え始め、雲上には槍ヶ岳の穂先が見えて思わず「キター!!!」と叫んでいた。時折顔を出す槍ヶ岳の展望を楽しみながら歩いていると、まみこさんが右下の谷間を見て「あ、虹!」と言うので見てみると、最初に虹に見えたが次第に虹が輪になり、ブロッケン現象が連発していた。
ブロッケン現象が終了するとガスが取れて完全に青空の下での歩きとなる。再び双六岳に向かって歩いていると、双六小屋への近道となる中道ルートの分岐に到着。この青空の下で双六岳に登らないのは勿体無いので、パノラマ写真を撮影し双六岳に向かう。左右に花が咲く道を通過してガレ場の登りが現れると山頂は近く、ガレ場を登りきると双六岳の山頂に到着した。双六岳の山頂は最初は人が多かったが、1人2人と登山者が降りていき、しまいには僕とまみこさんだけの山頂貸切となり、何とも贅沢な気分になった。
双六岳中道ルートの分岐のパノラマ写真を見る|双六岳のパノラマ写真を見る
午後から雨の予報なので、空気中に水分が多いのかガスが現れ消えの繰り返しで、パノラマ写真撮影は大変だった。何とか槍の穂先と笠ヶ岳を望めるように撮影し、2人とも展望を堪能してお腹一杯になったところで双六岳を下る。双六小屋への下りでは、まみこさんが今回楽しみにしていた荒涼とした広い稜線とその先に槍ヶ岳を望める景色を堪能しながら、記念写真を何度か撮影しながら下っていく。
途中でアオノツガザクラを発見し写真撮影に夢中になっているうちに、昨日テントサイトで一緒だった6,7才の女の子に追い抜かれ、女の子は大人と変わらない速度で下っていく。昨日女の子の家族のテントから聞こえていたのだが、今日は鏡平山荘でのカキ氷を楽しみにしているようだ。馬の鼻先に人参ではなく、カキ氷をぶら下げて女の子が歩いている姿が見えるようで何とも微笑ましい光景だった。アオノツガザクラの写真を撮り、再び下ると中道ルートの分岐、更に少し下ると巻道ルートの分岐に到着し、ここから更にザレた急な道を下っていくと双六岳に到着した。
まだまだザックには食料がたんまり残っているのだが、双六小屋のメニューにもひかれて僕はラーメン、まみこさんはおでんを注文して食べる。僕はテント泊・自炊の山行が多く、あまり山小屋で食事した経験がないのだが、双六小屋のラーメンはちゃんとメンマもチャーシューも入っていて普通に美味かった。「山小屋が開いている時期には持ってくる食料を減らして山小屋で食事というのもありだな」と思った。
ラーメンにまみこさんが烏帽子小屋で貰ったのりを追加して食べた
双六小屋で食事した後は、鏡平山荘へと下る。段々雲が多くなってきたので、雨に降られないうちに鏡平山荘へ下る。富山大学の「北アルプス双六小屋診療所」の前を通過すると視界が開け、双六小屋キャンプ指定地内を通ってまずは、弓折岳手前にある弓折乗越まで登る。
くろゆりベンチで小休止してから急な階段を登ると花見平に到着。この花見平は過去に2回通過した事があるが、1度も花を見た事が無いので楽しみにしていたのだが、時期が悪いのか微妙なお花畑だった。花見平を過ぎて軽く下ると、弓折乗越に到着。もうここから新穂高温泉までは下るのみであり、後は捻挫に気を付けるだけなので、だいぶ気が楽になった。
特に疲れてもいないので、弓折乗越は休憩せずにそのまま通過して下っていると鏡平山荘と鏡池が見え、下っている途中ではヘリコプターの爆音が響き渡り、鏡平山荘から登ってきた方の会話を聞くと、心臓を悪くしてヘリで搬送されたようだ。搬送された人の無事を祈りつつ下ると12時15分に鏡平山荘に到着し、今日の行程はこれで終了。鏡平山荘ではテントは張れないので、今日はまみこさんと一緒に小屋に泊まって、まったり・のんびりする事にした。
今回割り当てられたスペースは2階であり、「登るのが面倒くさいな」と思っていたのだが、2階の窓から槍ヶ岳が丸見えで最高のロケーションである事に気付き、まみこさんと2人で大満足。この後は槍ヶ岳を見ながら本を読んだり鏡池に写真を撮りに行ったりしていると、今日は双六小屋泊まりかと思っていたO夫妻が到着し、テラスで生ビールを堪能している姿を2階から見たりなんかして、まったり・のんびり過ごした。
鏡平山荘のカレーライス。恐らくレトルトのカレーだが、山では何を食べても美味い。
鏡平山荘の2階からは西鎌尾根~槍ヶ岳~奥穂高岳の稜線が丸見えだった
夕方になると天気予報通りの雨となり、17時半に久し振りの山小屋の食事を堪能する。メインは大きなメンチカツと春巻であり、野菜も食べられてとにかく美味かった。
鏡平山荘の夕食。あまりにも美味すぎて、ごはんをてんこ盛りでお替りした。
雨も上がり、20時前に「槍ヶ岳が見えるかな」と思いカメラを持って外に出るとO夫妻がおり、満月の月明かりの下聳える槍ヶ岳を眺めていた。しばらくすると雲に隠れていた槍の穂先が顔を出し、シャッターチャンスが到来。小屋に戻ってまみこさんに槍ヶ岳が顔を出した事を伝え、ヘッドライトを持って小屋前よりも展望の良い鏡池に写真を撮りに向かう。
鏡池には数名の宿泊者がおり、一言も喋らずにただただ月明かりの下聳える槍ヶ岳の景色を堪能していた。カメラのレリーズを忘れてしまったため、手振れ防止のためにセルフタイマーで撮影し、タイマー音が煩くて周りに申し訳ない思いをしながらも満足のいく写真を撮ることができた。しばらくするとまみこさんとO夫妻も鏡池にやって来て4人で鏡平からの絶景を堪能。余りにも素晴らし過ぎて、この光景は一生忘れる事は無いだろう。満月が雲に隠れると撮影タイムは終了し、小屋に戻って明日に備えて(新穂高温泉に下るだけなんだけど)20時半に寝た。
登山記録 |4日目
3時50分に起床。寝ぼけながらもコンタクトレンズを装着し、昨日に引き続き鏡池に槍穂の稜線と星空の撮影に向かう。鏡池には既に数名の宿泊者がおり、朝日が出るのを待っていたようだ。僕はご来光にはあまり興味が無いので星空撮影のみで切り上げ、小屋に戻る。
星空を堪能した後は、4時半に朝食を食べる。朝から美味しいご飯と味噌汁を飲んでお腹を十分に満たし、5時20分に小屋を出発する。
鏡池では沢山の登山者がご来光を楽しみに待っていて楽しそう。西鎌尾根から朝日が上がる事は知っているが、朝日が出るにはもうしばらくかかるので待ちきれずに、新穂高温泉へと下る。
途中で笠ヶ岳方面に朝日があたり、「今頃鏡池のテラスでは宿泊者が歓声を上げているだろうな」と思いながら下ってゆく。途中で木道がある「熊のおどり場」なんて可愛らしい地点を通過してしばらく下っていくとシシウドヶ原に到着。シシウドヶ原からはジャンダルム付近から西穂高岳へと続くギザギザの稜線や焼岳に乗鞍岳が見え、たまらずパノラマ写真を撮影した。
名前の通りイタドリが沢山茂っているイタドリヶ原を通過し、チボ岩からガレ場の道が続くと視界が開けて秩父沢に到着。一旦ザックを置いたがまみこさんは疲れていないようでそのまま下る。
イタドリヶ原
秩父沢からどんどん下っていくと、これから登る登山者と沢山すれ違うようになる。ガレ場の道をテンポよく下っていくと小池新道入口は近い。小池新道入口から先は、若干下っているのだろうが殆ど平地歩きが続き、日差しを避けながら日陰を歩いていくとすぐにわさび平小屋に到着。
わさび平小屋には8時に到着。中崎山荘で温泉に入って帰る予定なのだが、営業開始時間が分からず勝手に10時と想定。地図タイムでこのままいくと9時15分に到着してしまい、待っている間に日差しで熱中症になってしまいそうなので、ここで10時頃に中崎温泉に到着するように時間調整する。わさび平小屋の前には名物の野菜とフルーツが販売されており、りんごとオレンジを1つずつ買ってまみこさんと半分ずつ食べてリフレッシュ。時間調整も済んだところで、新穂高温泉へ向かう。
※結局中崎温泉の営業開始は8時からでした。早く着いてもっとゆっくりすればよかった。(笑)
トマト、きゅうり、スイカ、バナナ、りんご、オレンジが売っていて包丁で切って食べられる
去年登った笠ヶ岳の笠新道登山口を通過し、風穴から吹くひんやりとした空気に助けられながら、いつか登ってみたい錫杖岳や穴毛谷の景観を眺めて下ると新穂高温泉のゲートに到着。去年登った時には気付かなかったが、登山届けの記入台が引き出し式になっており、ちょっと面白かった。
穴毛谷とその先に笠ヶ岳を望む。穴毛谷はまるで要塞のようだった。
ゲートで下山届けを提出し、焼岳や新穂高ロープウェーを眺めながら車道を下っていくと、ついに新穂高温泉に到着。新穂高温泉から後ろを振り向くと、笠ヶ岳の稜線が見えており、最後の最後まで素晴らしい展望を楽しませてくれた。
新穂高温泉のバスターミナル前を通過し、パンフレットに書いてある簡単な地図を見て中崎山荘 奥飛騨の湯を探すが、探すまでもなくバスターミナルにあるお土産売り場の裏手にあり、ここで4日間の汗を流す。中崎山荘 奥飛騨の湯は建物も浴場も綺麗。露天風呂からは笠ヶ岳も見え、更には浴場に日焼け止め落とし用の洗顔料までが用意されており、配慮が行き届いた中崎山荘に感動しているところに、O夫妻の旦那が現れて更に感動した(笑)。
中崎山荘では食事も食べられ、飛騨牛を使った定食メニューに惹かれるがバスの時間があるので断念。この後は新穂高温泉バスターミナルに向かい、満員となった11時半のバスで松本駅へ移動。松本駅からは臨時便のガラガラに空いた松本発のスーパーあずさ号に乗って東京に帰り、4日間締め切った家の扉を開けると41度もあってびっくらこいた。
新穂高温泉バスターミナル。無料温泉は取り壊されて更地になっていた。
今回撮影したパノラマ写真は以下のリンクよりまとめて楽しめます。