御坂・道志・都留 登山記録 甲信越

鉄砲木ノ頭・高指山・石割山・平尾山・大平山(2003年12月20-21日)

日程・行程

2003年12月20-21日

1日目:東電寮入口バス停-パノラマ台-鉄砲木の頭-高指山-日向峰(テント泊)
2日目:日向峰-石割山-平尾山-大平山-湖北バス停

1日目の記録

天気予報を見ると「日本各地で大荒れの天気になるでしょう」と気象予報士は言っていたが、関東だけは土日共に「晴れ」の予報で、降水確率も0%~10%だ。土日の両方が晴れの予報ならば、最低でもどちらかは晴れてくれるだろう。という事で3度目の正直を期待して山中湖周辺の鉄砲木ノ頭、石割山に登り、富士山を見に行く事にした。

富士吉田駅に到着し、駅前のバスターミナルから平野行き8:43発のバスに乗る。山梨では今朝方にかけて軽く雪が降り、どの家も屋根が真っ白だ。凍結に対応するため、バスのタイヤにはチェーンが取り付けられており、乗り心地が悪くて気持ち悪くなってしまった。バスでの移動中に外を見ると雪がちらつき始めて不安になるが、一時的なもので東電寮入口バス停に到着する頃には止んでしまった。

バス停の南東方向にある道を進み、パノラマ台へと向かう。パノラマ台までは地図には30分と記載されているが、どうやら道を間違えたようで、30分歩いて到着したのはゴミ処理場で行き止まりだ。道を間違えた場合、元の場所に戻るのは鉄則なので来た道を戻ろうとするが、先程すれ違ったゴミ収集車がゲートを閉めて出て行ってしまったらしく、閉じ込められてしまった。そもそもゴミ収集車の運転手もこの先が行き止まりと分かっているのなら一声かけてくれてもよいものである。ゴミ収集車の運転手の無常の冷たさを感じながらゲートの横の隙間を抜け、来た道を引き返す。結局、バス停付近まで戻るとバス停のすぐ近くにパノラマ台への方向が書いてある案内板があり、今度は間違えずにパノラマ台への方向に進む。それにしてもあの案内板はおかしい。これから登る人が見る側に文字は書いておらず、下山する人が見る側に文字が書いてあったのだ。誰かが悪戯して案内板を操作したのだろうか?それとも僕が見間違えたのだろうか?結局ここで1時間近くもタイムロスしてしまった。

案内板を左に進み、草むらの道を通り抜けると車道に抜け、車道を20分程登るとパノラマ台に到着。パノラマ台には富士山の写真を撮りに来たと思われるカメラマンの車が5台程停まっていた。パノラマ台からは晴れていれば名前の通り、裾野が広がった見事な富士山と山中湖という組み合わせの素晴らしいパノラマを望む事が出来るだろう。だがあいにく富士山は裾野を除いた殆どの部分が雲に覆われており、カメラマン達も三脚とカメラを外に残して車の中で待機している様子だ。パノラマ台を後にし、不思議な名前の鉄砲木ノ頭に向かう。カヤトに覆われた変化の無い緩やかな登山道を登ると30分であっという間に山頂に到着した。

パノラマ台のパノラマ写真を見る


パノラマ台から見た富士山と山中湖。

広い山頂に祠がある鉄砲木ノ頭の山頂からは、先程通過したパノラマ台とその先に大きな富士山が見えた。しかしながら、富士山の山頂付近には大きな雲がかかっており、裾野しか見ることが出来ない。雲が取れるのを40分程待ってみたが、なかなか雲は取れず、雲が取れないばかりか台風並みの強風に、三脚がカメラごと倒れてしまったため、この場は諦めて先に進む事にした。
高指山に向かう下りの道は、雑木林の明るいトンネルで何とも気持ちが良い。鉄砲木の頭の頂上で吹いていた強風も、雑木林のお陰で風に吹かれる事が無く、快適に歩く事ができた。雑木林のトンネルを過ぎると急な下りに変化し、凍結した土の上を滑らないように慎重に下ると切通峠に到着。切通峠は十字路になっており、右が鉄砲木の頭、左が高指山への登山道となっている。高指山に向かう登山道で、ふと左を見ると鉄砲木の頭でお別れした富士山を再び望む事ができた。しかも鉄砲木ノ頭で見た時よりも雲が取れている。高指山に到着する頃にはあの雲は全部取れるだろうと予想し、シャッターチャンスを逃さないよう足早に登ると高指山に到着した。

高指山のパノラマ写真を見る1高指山のパノラマ写真を見る2


高指山から富士山を望む。

高指山は山の頂上という感じがせず、単なる尾根の視界の開けた場所だ。西側の斜面からは山中湖を挟んだ先に富士山の展望を望む事ができ、たまらず写真を撮る。しかし鉄砲木ノ頭から続く強風により思うように写真が撮れない。何しろ普通に立っているだけで体が吹き飛ばされそうな位の強風なのだ。三脚を押さえながら写真を撮るが、後で確認すると殆どの写真がブレていて使い物にならなかった。高指山を数分進むと高指山に似た西側の斜面が開けているピークに到着する。ここから見る風景は高指山と全く変わらないが、ベンチやテーブルまであるので、休憩するならば高指山よりもこちらの方が良いだろう。

大棚ノ頭を過ぎ、石割山へ向かう。地図上には山伏峠の記載があったが、いつの間にか通り過ぎてしまったらしく、右に日本200名山の御正体山と左に石割山の分岐点に到着。途中小さな小屋と小さな鳥居がある場所を通ったがあれが山伏峠だったのだろうか?大棚ノ頭から30分程歩くと太陽も富士山もこれから向かう石割山に隠れてしまい、急に視界が暗くなる。今日中に石割山に到着する予定であったがここまで暗くなってしまってはどうやら無理そうだ。全てはスタート地点の道間違いが原因だ。暗くなるといくらヘッドライトで明かりを灯しても、落ち葉に隠れた登山道を正しく進むのは厳しいだろう。遭難しては元も子もないため、日向峰を少し過ぎた林の中に幕営し、夜を明かす事にした。

テントを幕営しようとするが、余りの寒さに手がかじかんで思うように動かず、フリースの手袋をして何とかテントを幕営する事ができた。テントの中は風が入ってこないので外よりは暖かいが、それでも -4度である。歩いている時は体を動かしているから薄着でも寒くなかったが、テントの中で黙っていると体の芯から冷えてくる。そもそも氷点下とは水が凍る温度であり、冷蔵庫の中よりも寒いのである。僕のシュラフは対応最低温度が0度であるため、体から外側に半袖Tシャツ→長袖Tシャツ→薄手のフリース→厚手のフリース→マウンテンジャケット→シュラフシーツ→シュラフ→シュラフカバーの8枚を着込んで対応してみたが、それでも寒かった。前回の伊豆半島での山行時の経験により、今回相当な装備で来たのだがそれでも寒い位であった。今回の装備で寒さに耐えられない事もないが、やはり冬季には冬季対応のシュラフが必要だ。購入を検討しよう。17:00には真っ暗になってしまったので早めに食事を食べ終え、シュラフに入る。一日中歩き続けて疲れていたのか 18:00には寝てしまった。

2日目の記録

翌朝余りの寒さに目が覚める。目覚めの一杯の水を飲もうとボトルを持つとカラカラと音が鳴り、氷が出来ていた。外に出てみると朝日が見えており、雲一つ無い快晴の青空だ。昨日の強風を発生させていた低気圧が通り過ぎたのだ。天気予報もたまには当たるものである。テントを撤収し、7:00に出発する。数分歩くと南方の見晴らしが良い展望所に到着。富士山はこの先の石割山に隠れてしまって展望は望めないが、昨日登った鉄砲木ノ頭などの山々を望む事ができた。昨日あと数分歩いていれば見晴らしの良いこの付近に幕営し、朝日を拝む事ができたのだろうが、昨日の状況では致し方ない事だろう。展望所から石割山へ向かうが、本には「急な登り」と記載されていたが、僕には特に急な登りには感じられなかった。30分程歩くと送電鉄塔が見え始め、鉄塔を過ぎるとすぐに石割山に到着した。

石割山のパノラマ写真を見る1石割山のパノラマ写真を見る2石割山のパノラマ写真を見る3

石割山の山頂からの眺めは最高だ。東側は木々により展望は望め無いが、西側は左に山中湖、中央手前から平尾山、大平山、富士山と続き、富士山の右奥には南アルプスの山々の連なりが望めた。山頂には僕以外に誰もおらず、どうやら一番乗りのようだ。富士山の写真を撮るには最高のシチュエーションで、箱根の金時山、伊豆の山々で富士を望めなかったのが余程悔しかったのか、写真を撮りに撮りまくる。それにしても写真を撮っている瞬間は我を忘れ、富士山や南アルプスの写真を撮っているとあっという間に2時間が過ぎた。10:00になると山頂も沢山の人で賑わってきたため、富士山を見ながら食事し、下山する事とする。


富士山と宝永山(斜面の凸部)。


南アルプスを望む。左から濃鳥岳、間ノ岳、北岳(日本第2位の標高)。


富士山を見ながら大平山へ向かう。


石割山の山頂から待望の富士山と南アルプスを望む。

石割山から平尾山に向かう。石割山と富士山の間には平尾山、大平山と続くが石割山よりも標高が低いため、富士を見ながらの下山でとても気分が良い。石割山直下は階段歩きが続き、木の階段を下り終えると石割山から30分程で平尾山に到着した。平尾山は石割山から見た景色と大して変わらない展望だが、石割山よりも富士山に近いため、更に大きな富士山を望む事ができた。ここでも写真撮影を堪能し、望遠で富士山の山頂付近の写真を撮ると、7月の富士登山で歩いた須走口登山道のジグザグ道がくっきりと見られた。それにしても天気が良く、相変わらず雲一つ無い快晴の空である。余りにも気持ちが良いので、山頂のベンチに座りお茶とする。

平尾山のパノラマ写真を見る


平尾山から望遠で富士山頂を撮影。7月に登った登山道もクッキリと見える。

平尾山の先の大平山からは富士山との間に遮るものが一切無いため、これまたどでかい富士山を望む事が出来た。だが流石にここまで来ると富士山の展望はお腹一杯である。写真を撮っても全く同じ構図になり、単に富士山から近いか遠いかだけの違いで変化が見られないのだ。大平山からはまだ先に低山があり、ホテルマウント富士バス停への道が続くが、変化を付けるために山中湖へと向かう下山道を選択する。1時間程雑木林の中の道を下り、別荘が立ち並ぶエリアを過ぎると湖北バス停に到着した。

大平山のパノラマ写真を見る

今回、3度目の正直でやっと富士山を望む事が出来た。環境汚染の問題で世界遺産の認定を受けられなかったと噂される富士山。しかし石割山から見た富士山はそんなものは微塵も感じさせない、見る者を圧倒させるだけのオーラを持った日本一の山であった。

-御坂・道志・都留, 登山記録, 甲信越