登った山
剱岳(2,999m)
日程
6月13日(土)
馬場島(07:36)→展望台(08:13)→1,600m地点(10:24/10:39)→1,800m地点(11:24/11:51)1,920m三角点(12:17/12:36)→丸山(14:53) / テント泊
行動時間:7時間17分(休憩時間含む)
6月14日(日)
丸山(05:22)→早月小屋(05:24)→2,614mピーク(???)→剱岳(09:22/10:00)→平蔵のコル(10:34)→平蔵谷出合(11:32)→剣沢小屋(13:14)→剱御前小舎(14:20)→室堂(16:23)
行動時間:11時間1分(休憩時間含む)
1日目の記録
05:42 電鉄富山駅
西武新宿線の下落合駅から夜行高速バスに乗って、5時過ぎに富山駅に到着。駅前のコンビニで朝食用に「マスの寿司」と2日分の飲料5リットル分を購入して、電鉄富山駅に移動。駅には室堂に入る大学生パーティーが2組程おり、待合室内の1パーティーに話を聞くと、剣沢から剱岳に向かうとの事で情報交換。待合室で大好物の「マスの寿司」を食べ、06:18発宇奈月温泉行の電車に乗って上市駅に移動する。
06:42 上市駅
上市駅に到着。車中では富山県の欅平駅から餓鬼山を経由して唐松岳に縦走するという女性と出会い、山話が盛り上がって楽しかった。上市駅で下車し、駅前に停まっているタクシーに乗って馬場島に移動する。
07:24 馬場島荘
タクシーの運転手が愛想の良い方で、上市~馬場島にある集落の過疎の話、馬場島線の歴史、昔の登山ブーム時代の話などを興味深く聞きながら馬場島への道のりを行く。40分程すると馬場島荘に到着(料金は7,320円だった)。馬場島荘の建物内に入り登山届を提出し、剱岳の情報コーナーで剱岳の鳥瞰図などを見てから出発。馬場島荘の前には、背負子に土嚢を積んでいる男性を見かけたが、恐らくこれから早月尾根の整備をしに行くのだろう。男性に軽く挨拶をして、早月尾根の登山口に向かう。
07:28 剱岳は見えず
晴れていればこの車道から剱岳の山容を望めるのだろうが、今日は曇っていて残念ながら手前の尾根しか見えなかった。「剱岳 早月尾根を経て」と書かれた立派な標石に従い左に進む。
07:29 試練と憧れ
早月尾根の登山口といえば、「試練と憧れ」の石碑が有名だ。馬場島の標高が760m、剱岳の標高が2,999mであり、北アルプス三大急登と呼ばれる早月尾根の標高差は2,239m。何とも長大な尾根なのだが、今日は標高約2,200mの早月小屋でテント泊の予定であり、早月尾根も1泊2日であれば他の山と変わらない行程だ。
今回の山行は最初から最後まで試練だった。
ガマズミ
07:36 早月尾根登山口
「試練と憧れ」の石碑の右側の道を進むと早月尾根の登山口であり、登山口から早速急登が始まる。
07:47 土嚢が積まれた登山道
6月中旬ではあるが北アルプスでも雪の多い地域であり、今回は冬山フル装備でザックが重い。登山道は急登ではあるが、歩幅に合わせたよい間隔に土嚢が積まれていて歩きやすい。
オオカメノキ(ムシカリ)
08:13 標高1,000m地点
急な斜面の傾斜が緩むと、ベンチが設置されている標高1,000m地点に到着。イメージではひたすら山頂まで登りが続くものかと思っていたが、このような平らな個所もあり少し一安心。
08:15 湿地帯
松尾平と呼ば
れる平坦な地点を歩いていると、カエルの鳴き声が聞こえてくる。この尾根は残雪以外に水気は無いものかと思っていたのだが、湿地帯があり少し驚いた。
ギンリョウソウ
登山道のど真ん中にギンリョウソウが咲いていた。「生えていた」のほうが正しいのか?
立山杉1
松尾平の平らな道から再び登りに変わると、目の前に幹周りが非常に太い立山杉が現れ、思わず「でかっ!」と声を上げる。あまりにも大きすぎて広角26mmのレンズでは全体を撮影しきれず、上から下まで4カット撮影して、家で写真を合成する事にする。そして合成して作ったのが下の写真。近くに人でもいないと大きさが伝わらないが本当に大きい杉だった。
立山杉2
「いやー、本当に大きな杉だったなぁ」と思いながら再び登り始めると、今度は先程の杉とは違って縦にも横にも大きな杉が現れ再び「でかっ!」と声を上げる。「ここは屋久島か?」と思う程の大きさであるが、ここは早月尾根である。樹齢1000年レベルの巨木だと思うのだが、生命力の塊のような木であり何とも良いものを見られてよかった。
08:49 登山道整備の男性
標高1,100m付近を登っていると、馬場島荘で登山道整備の準備をしていた男性が登ってきて、「危ないと思ったらすぐに引き返して」「万が一の場合は早月小屋内に無線機があるから使って」と台詞を残してあっという間に僕の視界から消えていった。ちなみにこの方は毎週関東からやってきて登山道の整備をしているとの事で、登山道の土嚢はこの男性が設置しているようだ。 早月尾根の土嚢問題というのもあるようだが、見た目が自然でないのは気になるものの、土嚢を避けて歩く事による登山道の広がりも見当たらないので、今のところ僕は特に問題とは思わない。
09:11 標高1,200m地点
標高1,200m手前で雨が降ってきたため、ザックから雨具を取り出して木の下で雨宿り。木の葉に当たる雨音からそこそこの雨が降っているのが分かるのだが、木々のお陰で自分には余り雨が当たらない。雨が弱まったところで再び登り始めて標高1,200m地点に到着。
イワハゼ(アカモノ)
09:36 三角点
地図には載っていないが三角点?らしき標柱が埋まっていた。
10:01 標高1,400m地点
雨が降ったり止んだりで、その度に僕も休憩して登ってを繰り返し、こんなに休憩しながら登る登山も珍しい。
イワカガミ
10:24 標高1,600m地点
標高1,550m付近で、先程出会った男性が登山道の整備を行っており、「別に梅雨の時期に登らなくてもまた夏や秋にくればいいじゃない」「この時期が一番事故が多い」「この先の残雪歩きで単独で池ノ谷側に落ちたらまず見つからないよ」等と、沢山の注意や引き留めを受けるが、僕は人に判断されるのが嫌いである。心配してくれているから注意を言って頂けるのであり、非常にありがたい話なのだが、どうにも自分の目で見て判断しなければ気が済まないタチである。「この先危ないと思ったら引き返しますね」と一言お礼を言って再び登山道を登る。男性と別れた地点から一登りすると、標高1,600m付近であり、付近にはゴゼンタチバナが咲いていた。 ここでザックを置いて菓子パンとソイジョイでエネルギー補給して先に進む。
ゴゼンタチバナ
10:40 猫又山を望む
猫又山方面の展望が利くが、猫又山の山頂部はガスに覆われていてはっきりとは望めなかった。
10:51 ハシゴ
手作り感たっぷりのハシゴ
が備え付けられてあったが、これも先程出会った登山道整備の男性の作なのだろうか?
ショウジョウバカマ
11:24 標高1,800m地点
標高1750m付近から残雪が現れるが、特に歩きに支障をきたす残雪ではなくアイゼン等は必要ない。標高1,800m地点には可愛らしいピンク色のイワウチワが咲いていた。もう早月小屋までは残り標高400mなのだが、太陽が顔を出し始めてポカポカした陽気で眠くなってきたので、登山道に銀マットを敷いて20分程仮眠してから先に進む。
イワウチワ
12:13 奥大日岳方面の展望
天気も回復し、空には少しであるが太陽と青空が戻ってきた。早月尾根を右手に望むと、剱御前小屋から奥大日岳へと続く稜線が見えた。
12:17 気和平(標高1,920m地点)
剱岳に三角点を設置した柴崎芳太郎氏が設置した気和平の三角点に到着。しかしながら、後で調べてみたらこの標石は三角点ではなく、林野の管理のために設置された測量の基準点のようであり、柴崎芳太郎氏が設置したものではないとの事でちょっとがっかり。(参考)
標高1,920m地点より小窓尾根を望む。
12:41 残雪斜面のトラバース1
標高1,920m地点から先は、残雪斜面のトラバースが延々と続く。斜面の左下は池ノ谷へと切れ落ちており、コケちゃいけない場面なので、急な斜面は蹴り込んで確実に足場を作って慎重に進む。
13:22 残雪斜面のトラバース2
13:49 残雪斜面のトラバース3
今回早月尾根で唯一この箇所でのみ剱岳を望む事ができた。
14:13 水汲み
残雪のトラバースが終わり、早月小屋が近くなると夏道歩きとなる。早月尾根は水場が無いので、下から水を担いで来たが、なんと雪渓から水が流れており、しかも汲んでみると中々の透明度だ。煮沸すれば飲料にも使える感じであり、今日は水が少なければ晩飯を野菜炒めにする必要があったが、水が大量に確保出来たので当初の予定通りチゲ鍋とする事が出来てラッキーだ。
14:49 夏道歩き
残雪歩きが終わって、夏道となったら早月小屋は近い。
14:53 丸山
夏道を登りきると、丸山ピークに到着。丸山ピークから早月小屋は目と鼻の先であるが、早月小屋は風の通り道になっているようであり、ガスが通過して過ごしにくそうなので、風の影響のない丸山ピークにテントを張って一夜を過ごす。丸山の山頂からは時折ガスの切れ間に剱岳方面が一瞬見えるが、すぐにガスで視界が悪くなり、結局まともに剱岳の山容を望む事は出来なかった。視界は悪いものの気温は高く、テントの入り口を開けて昼寝し、夜にチゲ鍋を食べて明日の為に早々に寝た。