3日目の登山記録
5/3(晴れ)
淀川小屋→花之江河→黒味岳→投石平→宮之浦岳→焼野三叉路→永田岳→焼野三叉路→第二展望台→新高塚小山→高塚小屋→縄文杉→ウィルソン株→大株歩道入口→楠川分れ→辻峠→白谷山荘(小屋泊)
04:27 淀川小屋を出発
今日は地図タイム14時間の行程のため、3時30分に起床して朝食の菓子パンを食べて4時30頃に出発。久々の3時台の起床なので起きれるか不安だったのだが、3時位には他の登山者が起きて荷物の整理でガサガサしていたので目覚まし要らずだった。
05:15 夜明け
ヘッドライトを付けて真っ暗な登山道をひたすら黙々と登っていると、東の方角から太陽が上がってきた。
05:22 小花之江河(こはなのえごう)
土の登山道から整備された木道の道に変化し、木道を下り終えると視界が開けて小花之江河に到着。小花之江河はミズゴケなどの湿地帯に枯れたスギなどの樹木があり、薄暗いというのもあり
何だか神秘的に見えた。
05:36 花之江河(はなのえごう)
今度は花之江河に到着。小花之江河よりも湿地帯の規模は大きく展望は開けているが、僕は景色がまとまっている小花之江河のほうが好きだ。
05:56 黒味岳分岐
花之江河から少し行くと黒味岳の分岐点だ。登り30分下り20分のピストンなので、ここにザックをデポして、カメラと三脚と水だけを持って黒味岳に向かう。
06:24 黒味岳
滑りやすい岩の斜面などをロープを使いながら登ると森林限界に到達して視界が開ける。山頂部にある巨石群の脇を通過して登っていくと黒味岳山頂に到達。山頂からは遮る物
が一切ない360度の大パノラマが広がり、これから登る宮之浦岳や永田岳の他、屋久島の外周を取り巻く前岳の山々の展望が素晴らしい。「洋上アルプス」とは聞いていたが、
山の規模も景観もアルプスに劣らず、本当に海の上に浮かんだアルプスのようだ。
06:41 黒味岳分岐
下りの岩場の急斜面で前を向いたまま下っていると足を滑らせて数m程滑落。長袖Tシャツの袖は破れてボロボロ、破れた穴から左腕を見ると肉がえぐれていて出血。切り傷だけで歩くのには問題はないのでよかったが、散々な状態で分岐に戻ってきた。積雪期以外では初めての滑落。原因は登山靴のソールが擦り減って溝が無かった事と、僕の不注意だろう。過去に一度も使った事のない医療セットがこんな所で役立ったので、今後もちゃんとザックに医療セットを入れて山に登る事にしよう。丁度分岐に到着した男性2名の方々と情報交換し、男性2名は黒味岳へ、僕は宮之浦岳方面へと向かう。
07:08 投石平(なげしだいら)
分岐から20分程下ると視界が開け、投石平に到着。投石平からは黒味岳が素晴らしい。先程黒味岳の分岐で出会った登山者が山頂に到達しそうなのを見ながら、パノラマ写真撮影をしたりして小休止。
07:30 投石岳直下より小楊枝山
投石平から宮之浦岳方面への登山道から、ふと左を見ると、小さな尖ったピークを発見。地図を広げて見ると「小楊枝山」と書いてあり、「上手い名前を付けたもんだなー」と感心。
07:51 翁岳分岐
投石平からは投石岳・安房岳・翁岳の三山を登らずに巻いていく。巻き道を進み、翁岳分岐付近に達すると、目の前に宮之浦岳の山容が視界に飛び込んできて大興奮だ。たまらずに近くの大岩に登ってパノラマ写真を撮影。
08:01 翁岳・安房岳・投石岳を望む
宮之浦岳への登りの登山道から後ろを振り向くと、翁岳・安房岳・投石岳が横に並んで聳えている姿を見る事ができた。
08:16 宮之浦岳の登り
宮之浦岳への上りは急だと聞いていたのだが、疲れも吹っ飛ぶ景色なので辛くない。
08:16 栗生岳
宮之浦岳に向けて登っていると、大きな岩の裏手に「くりお岳」と書かれた大きな看板が現れてびっくり。いつの間にか栗生岳の山頂に到達していたようだ。看板に気付かなければピークに気付かず通り過ぎてしまうところだった。ちなみに宮之浦岳・永田岳とこの栗生岳は三岳と呼ばれているらしい。宮之浦岳・永田岳・黒味岳を三岳とするガイドブックもあるようだが、どれも素晴らしい山なのでそんなもんはどうでもよい。
08:34 宮之浦岳山頂
ついに九州最高峰の宮之浦岳の山頂に到達。屋久島のほぼ中心に位置する宮之浦岳の山頂からは、360度の大展望が広がりただただ素晴らしい。GWという事もあり山頂はさぞや賑わっているだろうと思っていたのだが、山頂にいた登山者は到着時点で僅か3人。人で山頂が一杯になる前に先にパノラマ写真を撮影するが、そんな心配は無用でその後も山頂が人で一杯になる事はなかった。淀川小屋には小屋・テント泊含めて50人以上はいたと思うのだが、皆出発が遅いので早出すれば空いている山頂を楽しめるのかもしれないなと思った。
09:23 宮之浦岳から永田岳を望む
宮之浦岳からは永田岳の山一面を覆う笹原に巨石が点在する山容が素晴らしい。ちなみに宮之浦岳からの永田岳の山容が、屋久島で見た一番印象に残る景色だった。
09:23 宮之浦岳から七五岳を望む
宮之浦岳山頂からだいぶ遠くに長大な岩肌を持つ特徴的な山を発見。地図を見ると七五岳と書いてあり、登山道もあり登れるみたいだ。屋久島は代表的な宮之浦岳や永田岳の他にも、愛子岳・モッチョム岳・太忠岳・七五岳など個性的な山々が沢山点在するので、次回はこういった個性的な山々に登る事にしよう。と思うが、屋久島は山の他にも海も滝も木々も素晴らしくて名所だらけなので、後何回来ればいいんだー。という事で写真を撮り終え、焼野三叉路へと下る。
09:36 焼野三叉路へ下る
焼野三叉路への下りから永田岳方面を望む。永田岳と連なるネマチの山容も素晴らしい。
09:37 焼野三叉路
永田岳・宮之浦岳・新高塚小屋の各方面への分岐点となる焼野三叉路に到着。ここにザックをデポして三脚とカメラと水だけを持って永田岳に向かう。焼野三叉路から永田岳方面に少し行くと開けた好展望地があるので、人で賑わう三叉路よりもこちらにザックをデポすればよかったと思った。
09:55 永田岳に向かう
永田岳の山一面を覆う笹原に巨石が点在する山容を目前にして、開いた口が塞がらない。
10:12 永田岳を登る
焼野三叉路と永田岳の最低鞍部まで下り、そこから永田岳へ登る。笹薮の中にある登山道の斜度は結構急で、空身なのだがゼーゼー言いながら登る。
10:19 永田岳山頂直下
ゼーゼー言いながら急斜面を登ると、山頂の大岩が見えてきた。すれ違った登山者に感想を聞くと「最高です!」との事なので超期待大だ。
10:24 永田岳山頂
山頂部の大岩をロープなどを使って登りきると、これまた遮るもののない360度の大展望が広がり最高だ。永田岳の山頂には誰もおらず、この素晴らしい展望を一人占め。山頂部の大岩と大岩の間を飛び跳ねながら移動して、360度の展望を満喫した。
10:36 永田岳から宮之浦岳を望む
永田岳から宮之浦岳方面を望むと、歩いてきた縦走路が見えて「ここを歩いてきたのかー」と気分が良い。
10:36 山頂部に点在する大岩
下から見上げて感動していた山頂部の大岩は、間近で見ても良かった。
10:40 永田集落と永田浜
永田岳の山頂からは永田集落と海亀の産卵で有名な永田浜もよく見えた。永田岳からの撮影もお腹一杯となった所で、焼野三叉路へ戻る。
10:51 焼野三叉路へ戻る
焼野三叉路へ戻る途中で宮之浦岳方面を撮影。景色が素晴らしすぎて中々足が前に進まない。
11:20 さらば永田岳
ここから先はもうこの景色を望めないので、何度も後ろを振り返りながら別れがたい思いで焼野三叉路へ戻る。
11:32 焼野三叉路
焼野三叉路に戻ってくると、これから宮之浦岳や永田岳に向かう沢山の登山者で賑わっていた。縄文杉目指して宮之浦歩道を下る。
12:13 ビャクシン岩
宮之浦歩道を下っていると左にまるでモンスターを思わせるような大きなビャクシン岩が鎮座していた。ほんと屋久島は奇岩や巨石の宝庫だ。
12:20 第二展望台
登山道から外れて数mのところに第二展望台があるので行ってみると、もう見る事が出来ないと思っていた宮之浦岳方面の展望を望む事が出来たのでよかった。
12:33 第一展望台
第一展望台では他の登山者が撮影中だったためパノラマ写真は撮影せず、ここで宮之浦岳方面の展望とお別れだ。
12:45 新高塚小屋
第一展望台からどんどん標高を落としていくと、新高塚小屋に到着。新高塚小屋の前には広い木道上のテラスや地図には載っていないが水場もあり、凄く快適そうな山小屋だった。
13:26 高塚小屋
高塚小屋に到着。まだまだこれから歩かなければならず、余りゆっくりしていられないので小屋には寄らなかったが、新高塚小屋より小さくてこじんまりした小屋だった。
13:42 縄文杉
高塚小屋を少し行くと立派な休憩所が現
れ、休憩所のすぐ先に縄文杉が立っていた。保護のため木の周りには立ち入る事ができないようになっており、人と大きさを比較出来ないのが残念だが、周囲16m・樹高30mという余りにも大きい縄文杉に開いた口が塞がらない。余りにも大きいのでパノラマ写真に幹しか写らないのが可笑しかった。
14:03 くぐり杉
大きな木の幹?根?がアーチになっていて、これをくぐって先に進む。
14:41 ウイルソン株
縄文杉から木道や階段をどんどん下っていくと、今度はウイルソン株に到着。縄文杉も感動したが、正直僕はこちらのウイルソン株のほうがより感動した。かつて豊臣秀吉の大阪城(方広寺とも)建築のために切られたといわれており、切られた幹は結局運びだす事が出来ず今も下の沢に残っているらしいのだが、「だったら最初から切らなきゃよいのに」と思ってももう既に遅い。僕が縄文杉よりもウイルソン株のほうがより感動した理由は、切られてもなお生きているという事だ。写真のウイルソン株の横に生えている2本の巨杉は樹齢300年といわれており、それが正しいとすると本体が切られた約100年後に生命を宿した事になる。切られてもなお生き続け、切られた後も見る者に感動を与え続けるウイルソン株は本当に素晴らしかった。
14:58 ウイルソン株の中に入ってみた
ウイルソン株の内部は空洞になっており中に入ってみると、そこには小さな祠が祭られており、何と水まで沸いていた。せっかくなので水を飲んでみると、美味い!と言うか屋久島の水はどこで飲んでも美味い。日本各地の山に登って美味しい水を飲んでいるつもりだが、この屋久島の水は本当に特別に美味しく感じた。
15:20 大株歩道入口
ウイルソン株を20分程下ると大株歩道入口に到着。ここから先はトロッコ軌道上を歩いて楠川分れまで平地を進む。
16:14 楠川分れ
黙々とトロッコ軌道上を歩いて進むと楠川別れに到着。荒川登山口に向かう人はそのままトロッコ軌道を進めば辿りつくのだが、本日泊まる白谷山荘方面には更にここから標高200mを登らなければならないので正直辛い。もう既に出発してから12時間近く歩いて足はもう疲労でパンパン。泣きそうになりながら辻峠目指して登る。
16:47 苔むした登山道を登る
辻峠までの登山道は苔むしており素晴らしい。のだが疲れていてそれどころではない。地図を見ると白谷小屋には水場マークが無いため、登山道脇にあった水場で4リットル分の水を汲み、更に重くなったザックを背負ってヒーヒー言いながら歩いては休みを繰り替えしながら登る。
17:14 辻峠
疲労困憊でやっと
辻峠に到着。今回余り下調べをしてこなかったのだが、後で調べたらこの付近は「もののけ姫」の舞台のモデルとされた場所らしく、「もののけ姫の森」と言われているそうだ。そんな事を知らない僕は、近くの太鼓岩にも登らずにもうとにかく白谷山荘でゆっくり休みたい思いだけで、辻峠はすっ飛ばして白谷山荘へ下る。
17:33 白谷小屋
辻峠から約20分程下ると白谷小屋に到着。
もうこれ以上歩かなくてもよいので一安心。白谷山荘はコンクリート造りとなっており、一人きりで泊まると少々寂しい感じがする山小屋だが、今日はGWという事もあり10数人は宿泊者がいたので安心だ。ちなみに水場が無いと思っていたのだが小屋の目の前にはしっかりとした水場があり、担いできた4キロの水はムカついたので全部捨ててあげました。(笑)この後は福岡在住の方々と山荘前のテーブルで話しながら食事をし、満天の星空を堪能した後20時過ぎに就寝。明日は白谷雲水峡まで1時間かからない下りなので、起床の時間は気にせずにゆっくりと寝た。
4日目の登山記録
5/4(曇り)
白谷山荘→白谷雲水郷バス停
07:09 白谷雲水峡へ下山
白谷山荘で一緒に泊まった方々が縄文杉・宮之浦岳方面に向かうのを見送った後、7時に白谷雲水峡目指して山荘を出発。登山道は苔むして素晴らしく、すれ違う方々は皆声をあげて感動していた。
07:17 さつき吊り橋
苔むした登山道を下るとさつき吊り橋が現れ、吊り橋を渡って観光客向けの整備された遊歩道を下る。
07:26 飛竜落し
白谷雲水峡の歩道沿いは滝が沢山で常に水を感じられる。花崗岩の隙間を流れ落ちる飛竜落しを見ながら下る。
07:36 白谷雲水峡
白谷雲水峡の管理棟に到着。
管理棟の前はこれから登る観光客や登山者で一杯だ。ここから約2時間で楠川の海岸沿いに下山できるのだが、余り興味を示さず宮之浦行き9時発のバスに乗って宮之浦に向かう。
10:06 トビウオラーメンを食べる
白谷雲水峡からバスで30分程で宮之浦に到着。屋久島観光センターの1Fの売店で余ったガスカートリッジを引き取ってもらい、2Fの食堂でトビウオラーメンと首折れサバの刺身を注文。トビウオラーメンはトビウオが丸一匹入っており、「どうせインパクトだけが残るラーメンなのだろう」と思っていたのだが、トビウオで取っただしの醤油スープが美味い。麺のコシが微妙ではあったがトビウオのから揚げも美味しく、全体的には美味いと言えるラーメンだったので、今度来たらまた食べてみようっと。
11:46 屋久島港
観光センターで食事と買い物を済ませた後は、屋久島港に移動して12時発のジェットフォイルロケットに乗って鹿児島港に移動。3日半に渡る屋久島登山も結局一度も雨に降られる事もなく、気分良く終えられたので大満足だ。「一月で35日も雨が降る」と言われるこの屋久島でこれだけ天気に恵まれたのは運もあるだろうが、自分の都合に合わせて山に登らず、山の天気に合わせて山に登ったからだろう。この後は鹿児島から高速バスで博多に向かい、ホークスVSライオンズ戦を観戦してから東京に戻った。